ロシア、トマホーク供与に強硬反発

早瀬 涼真
经过

ゼレンスキー氏、米訪問で直接支援要請へ

ウクライナのゼレンスキー大統領は10月17日、ワシントンでトランプ米大統領と会談する予定だ。ウクライナはロシアによるエネルギー施設攻撃の激化に直面しており、防衛体制の強化を急ぐ中で米国製トマホーク巡航ミサイルの供与を要請する。会談にはスビリデンコ首相やイエルマーク大統領府長官も同行し、防空支援や制裁強化策を協議する見通しだ。

トランプ政権、最終判断を慎重に保留

両首脳はすでに2度の電話会談を行ったが、トランプ氏は「紛争の拡大」を懸念し、供与について明確な決定を避けている。ゼレンスキー氏は会見で「直接会って話す必要がある」と強調し、譲歩を引き出すための直談判に臨む姿勢を示した。米側の最終判断は、ロシアの反応を踏まえた慎重な分析の後に下されるとみられる。

ロシア高官「トランプ氏に悪い結果」と警告

ロシアのメドベージェフ前大統領は13日、SNS上で「トマホークが供与されればトランプ氏自身に悪い結果をもたらす」と発言し、供与の抑止を狙った。さらに、「核弾頭か通常弾頭か区別できない」とし、核対応の可能性を示唆した。ロシアのプーチン大統領も「関係の質的変化につながる」と述べ、米国に対し警告を発している。

米露関係、冷戦以来の緊張水準に

米政策研究機関によると、トマホークが配備された場合、露領内の1,600か所以上の軍事拠点が射程内に入る可能性がある。これを受け、ロシア下院はプルトニウム処理協定破棄法案を可決し、対米強硬路線を鮮明にした。軍事専門家の中には、報復措置としてキューバへのミサイル配備再開を提案する意見も出ている。

米ウクライナ関係の試金石となる会談

トランプ政権は、ウクライナ支援の継続と米露関係の安定の間で難しい判断を迫られている。ゼレンスキー氏の要請が受け入れられれば、ロシアの反発が一層強まるのは確実だ。17日の首脳会談は、戦争の行方と大国間関係の均衡を左右する重要な節目となる。

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