トランプ政権、中東和平で「バランス外交」転換

宇津木 柊
经过

偏重から調整へ トランプ政権の新戦略

トランプ米大統領は、イスラエルとハマスの間で戦闘休止と人質解放を含む和平案第1段階の合意をまとめた。これにより、トランプ政権は従来の「イスラエル偏重」外交から「バランス型」外交へと舵を切った。中東地域での信頼回復と安定化を狙う動きが明確になった。

カタール・エジプト・トルコの仲介が奏功

トランプ氏はSNSで「われわれとともに働いた歴史的パートナー」として、カタール、エジプト、トルコの3カ国に謝意を示した。これらの国々は、ハマスとの関係や地理的影響力を活かして和平案の策定に深く関与。特にエジプトは、交渉の現場でハマスに合意を迫る重要な役割を果たした。

イスラエルの一方的行動を抑制へ

2023年以降のガザ戦闘を通じ、イスラエルの一方的な軍事行動が地域を不安定化させてきた。特に9月のカタール空爆は、米政権の外交転換を促す契機となった。トランプ氏はその後、国連総会の場でイスラム諸国の首脳と会談し、和平の原案を提示。イスラエル側に修正案を突き付ける強硬姿勢を見せた。

ネタニヤフ政権との距離と再調整

トランプ氏は、イスラエルのネタニヤフ政権と距離を置き、連立内の極右勢力が求めるヨルダン川西岸併合を明確に否定した。これにより、イスラエルとアラブ諸国の両方に配慮する外交方針を打ち出し、トランプ政権の「調整型外交」が鮮明となった。

恒久和平への持続的関与が焦点に

今回の合意は「入り口」にすぎず、停戦維持や恒久的和平には米国の長期的関与が不可欠である。トランプ氏の外交姿勢が一貫して維持されるかどうかが、今後の中東情勢の安定を左右する。バランス外交への転換が成功するか、国際社会の注目が集まっている。

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