違反情報の事前共有で実効性を高める措置
電動キックボード大手のLuup(ループ)は、警察からの交通違反情報提供を受ける際、事前同意を必須とする制度を導入する。現行では取り締まり時に同意を求めていたが、11月7日からは利用開始前に同意がないと利用できない。これにより、違反行為の情報が迅速に会社へ共有され、再発防止策の精度向上が期待される。
急増する事故と飲酒運転の深刻化
電動キックボードは利便性の高さから利用が拡大する一方、事故や違反の報告が後を絶たない。警察庁によると、2025年1〜6月の人身事故は163件に上り、29件が飲酒運転に関連していた。飲酒比率17.8%という数字は、自転車や原付きに比べて著しく高く、安全意識の低下が問題視されている。
Luupの交通違反点数制度とその課題
同社は2024年から「交通違反点数制度」を運用しており、違反内容に応じて警告や利用停止を行っている。ただし、情報の多くがユーザーの自己申告に依存しており、警察が取得した違反データも同意が必要なため、実効性に限界があった。今回の改定は、この構造的な欠点を補う試みとされる。
個人情報と利用者の意識変化への注目
事前同意制の導入は、個人情報の取り扱いを巡る懸念も伴う。Luupはプライバシー保護と安全性の両立を掲げ、透明な運用を行う方針を示している。ユーザー側も、違反履歴が直接利用制限に結びつくことから、慎重な運転姿勢が求められる。
新制度がもたらす安全文化の定着
Luupは今後、警察との連携を強化し、違反データの活用を通じて事故防止策を高める考えだ。利用者の意識改革と制度の定着が進めば、電動キックボードが安全かつ持続的な交通手段として社会に定着する可能性が高い。