三菱モルガン証券で顧客口座不正利用 4億円超の株購入発覚

井村 智規
经过

不正アクセスによる大規模な株式購入が判明

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、顧客の証券口座が不正アクセスを受け、コールセンター事業などを展開するコラボス(東証グロース)の株式約4億5,900万円分(14.99%)が不正に購入されたと明らかにした。同社はこの事案を10月8日に公表し、関東財務局に大量保有報告書を提出した。

株価つり上げの疑いも 取引経緯を精査中

発表によると、8月25日にコラボス株は前日比99円高の670円まで急騰した後、終値では515円まで下落している。短期間での価格変動から、何者かが乗っ取った口座を使い株価を人為的に押し上げたうえで、別の口座から保有株を売却して利益を得た可能性が指摘されている。

株式は管理口座に移管 経営関与を否定

同証券は被害顧客の資産回復を目的に、不正購入された株式を自社の管理口座に移した。報告書によれば、9月30日時点で保有比率は12.94%に減少しており、市場での売却を進めている。会社側は「経営に関与する意思はない」として、速やかに処理を完了させる方針を示している。

金融庁、被害額増加を懸念

金融庁の集計によると、2025年に入ってからの不正アクセスによる株式売買被害額は、9月末時点で約6,900億円に達した。ネット取引の拡大に伴い、証券各社では二段階認証やセキュリティ対策の強化が求められている。

広がる個人投資家への影響

今回の事案は、オンライン取引に依存する個人投資家の脆弱性を浮き彫りにした。金融関係者の間では「不正アクセスは今後さらに巧妙化する恐れがある」との警戒感が強まっている。被害を受けた投資家の資金回復手続きが完了するまでには、一定の時間を要するとみられる。

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