浜岡原発1号機で原子炉撤去を開始
中部電力は7日、浜岡原子力発電所1号機で原子炉の撤去作業を開始したと発表した。商業用原発の原子炉解体としては国内で2例目にあたり、長期にわたる廃炉工程の中でも重要な節目を迎えた。
今回の作業は4段階の廃炉プロセスの第3段階で、放射線量の高い原子炉圧力容器や格納容器が対象となる。
工程の詳細と解体手法
初日に中部電力は、原子炉圧力容器のふたをクレーンで取り外す作業を行った。今後は、帯状の刃を備えた専用装置を用いて金属部分を切断し、部品ごとに搬出する。
第3段階の作業は2035年度まで継続され、慎重な放射線管理のもとで実施される予定だ。
浜岡2号機の経験を生かした対応
中部電力は、浜岡2号機の先行解体で得た知見を今回の1号機に適用している。特に廃棄物の取り扱いや防護措置、作業員の被ばく低減策などで改善が進められている。
同社は「安全性と作業効率の両立を図る」としており、地域の信頼確保を重視する姿勢を示している。
廃炉完了は2042年度を予定
中部電力は、2035年度までに原子炉の撤去を完了し、建屋を含む全廃炉作業の終了は2042年度とする方針を明らかにした。放射性廃棄物の保管施設整備も同時進行で進められており、廃炉作業は工程表に沿って計画的に実施されている。
長期にわたる廃炉計画の意義
浜岡1号機は1976年に稼働を開始し、2009年に停止した。2008年の廃炉決定から16年を経て、ようやく原子炉の物理的な撤去段階に入ったことになる。
国内では老朽化した原発の廃止が進む中、浜岡1号機の事例は今後の廃炉政策や安全基準見直しに影響を与える可能性がある。