複数年契約で6GW規模の導入を発表
AI開発企業OpenAIと米半導体大手AMDは10月6日、次世代AIインフラ構築に向けた複数年契約を締結した。契約では、OpenAIが6GW分のGPUを段階的に導入することが明らかにされ、初回の1GW分は2026年下半期に供給が始まる予定だ。AI処理需要の拡大に伴い、エネルギー消費を前提とした新たなデータセンター構築が進む。
OpenAIがAMDを中核パートナーに選定
OpenAIはAMDを主要パートナーとして、Instinct MI450シリーズや将来の製品を活用する方針を示した。両社は共同で開発ロードマップを調整し、AI計算性能とエネルギー効率の両立を目指す。AMDのリサ・スーCEOは「OpenAIとの協業が当社の成長を加速させ、AI産業全体を押し上げる」と述べた。
成果連動型の新株予約権を発行
契約の一環としてAMDはOpenAIに対し、成果に応じて最大1億6,000万株の新株予約権を発行した。段階的な導入進展や技術的マイルストーンの達成によって権利が確定する仕組みとなっており、経営陣はこれを長期的な信頼関係構築の象徴と位置づけている。株式市場では発表後、AMD株が28%上昇するなど、投資家の期待が反映された。
NVIDIAとの二重提携で競争加速
OpenAIは9月にもNVIDIAとの戦略提携を発表し、10GW規模のシステム導入を予定している。両社との協力体制を通じ、AI開発における供給リスク分散を図る狙いがある。一方で、AMDにとってはこの契約がNVIDIA依存構造を崩す重要な一歩となり、GPU市場での勢力図が変わる可能性もある。
巨額投資が示すAI産業の転換点
AIの進化には膨大な計算資源が不可欠であり、インフラ投資の規模も拡大を続けている。OpenAIのサム・アルトマンCEOは「兆単位の資金を投じ、AIサービスを支える新しい金融手法を模索している」と語っており、AI分野が従来のIT産業を超える経済圏に拡大しつつある。今回の契約は、その転換点を象徴する動きといえる。