与野党の対立が鮮明に
米連邦政府の新会計年度を前に、トランプ大統領と議会指導部の協議は物別れに終わった。下院では共和党が11月21日までのつなぎ予算案を可決したが、上院では民主党が医療保険の補助延長を要求し、否決に至った。両党の隔たりは依然大きく、合意形成は難航している。
バンス副大統領が閉鎖の可能性を指摘
29日に行われた会談後、バンス副大統領は「政府閉鎖に向かっている」と発言した。基本的な公共サービスを交渉の道具に使うべきではないとの立場を示しつつも、与野党の歩み寄りが見えない現状を認めた。これに対し、民主党のシューマー院内総務は「医療制度改革の一部を受け入れれば回避可能」と強調した。
経済統計の公表停止が発表される可能性
仮に予算が成立せず政府機関が閉鎖されれば、米労働省は10月3日公表予定の雇用統計を含む主要な経済データの発表を停止する見通しだ。雇用統計は金融市場が注視する景気の指標であり、発表中止は投資家や企業活動に大きな不確実性をもたらすことになる。
過去の閉鎖が示す影響
米国では1981年以降14回の政府閉鎖が発生しており、その影響は航空検査体制の停滞や観光業の打撃など広範囲に及んだ。特に1995~96年の26日間、2013年の16日間、そして2018~19年の35日間に及んだ最長閉鎖は深刻な経済的損失を招いた。今回閉鎖が現実となれば約7年ぶりとなる。
不透明な行方と国民生活への懸念
連邦政府閉鎖は恒例化しているものの、そのたびに国民生活や経済に大きな影響を及ぼしてきた。今回も給与未払いに直面する公務員や、空港・観光施設の停止で日常生活に支障が生じる可能性がある。交渉の行方が見えない中、閉鎖回避に向けた最終的な決断が迫られている。