初の2万円台で小売価格が最高値を記録
29日、国内の金小売価格が史上初めて1グラム=2万円台に乗せた。田中貴金属工業は2万133円に設定し、過去最高水準を更新した。今回の急騰は9月以降続いており、短期間で大幅な上昇を示している。
FRBの金融政策が資金流入を後押し
金利を生まない金への投資が拡大する要因の一つに、米FRBによる利下げ再開がある。米ドル金利の低下は金の相対的な魅力を増し、世界的な資金流入を加速させた。市場では、米国の金融緩和姿勢が続く限り、金の需要が堅調に推移するとの見方が優勢だ。
国際的な緊張が買い需要を押し上げ
加えて、中東の不安定化やウクライナ情勢の長期化が金価格を押し上げている。特に国連によるイラン制裁再発動が市場に不安を与え、安全資産とされる金の需要を一層高めている。各国中央銀行が米国債を売却し、金保有を増加させている動きも報告されている。
国内先物市場でも最高値を更新
国内では大阪取引所で取引される先物価格も上昇し、29日午後には1万8447円を記録した。これは直近26日の最高値を超えるもので、国内外の市場における価格上昇基調を裏付ける動きとなった。
年内にさらなる高値更新の見通し
市場関係者の間では、現行の国際情勢と米国の金融政策を前提とすれば、年内にも1グラム=2万2000円に達するとの見方がある。金は依然として投資家にとって避難先資産であり、今後も相場の注視が必要とされる。