米中対立下で進む資産整理、BYD株売却の余波

笠原 美琴
经过

著名投資家が中国関連資産を手放す動き

米投資会社バークシャー・ハサウェイが、中国の電気自動車大手BYD株を完全に売却した。米メディアによれば、同社は近年、中国関連の投資資産を整理する動きを強めている。背景には米中対立の激化があるとみられている。

投資から利益確定までの経緯が明らかに

2008年に2億3千万ドルで取得したBYD株は、その後のEV需要拡大を追い風に急騰し、一時90億ドル規模に達した。バークシャーは2022年から売却を開始し、今年3月末までに全て処分したことで、巨額の利益を確定させた。

台湾情勢を懸念した判断の可能性

同社はBYD株と並行して、世界最大の半導体受託生産企業であるTSMC株式もほぼ全て売却していた。バフェット氏が台湾情勢や中国政府の政策に懸念を抱いていたとの見方も出ている。投資判断は単なる利益確定にとどまらず、地政学的な視点が影響した可能性がある。

中国EV市場に与える影響が注目

BYDは中国を代表するEVメーカーであり、その株主からバークシャーが完全撤退したことは市場心理に少なからず影響を与える。今後、海外投資家の動向や中国EV市場への資金流入にも波及効果が及ぶと考えられる。

感謝を示すBYDのメッセージ

BYDの広報責任者はSNSを通じて、バークシャーの支援に謝意を示した。米中関係の緊張が続く中でも、17年間にわたる協力関係が一定の成果をもたらしたことを強調した。象徴的な投資関係の終了は、米中経済関係の行方を占う一つの節目ともいえる。

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