2200億円の支払い合意が明らかに
米AI企業アンソロピックは、著作権を巡る裁判で約2200億円の和解金を支払うことで合意した。訴えを起こしたのは複数の作家で、生成AIの学習過程において自らの著作物が無断利用されたと主張していた。和解は司法の認可を条件としており、成立すればAI関連訴訟で最大規模となる。
作家らが訴えを起こした背景
この訴訟は2024年8月、作家らが「著書が許可なくAIに利用された」としてカリフォルニアの連邦地裁に訴えを起こしたことに始まる。アンソロピックは1年後の2025年8月に和解姿勢を示し、9月には15億ドルを支払う条件が具体化した。AI業界にとって著作権問題を巡る転換点と位置づけられている。
違法データの利用が裁判で認定
カリフォルニア州の連邦地裁は今年6月、購入した書籍の利用は合法とする一方で、海賊版から入手した約700万冊を使った行為を著作権侵害と断定した。そのため、和解条件には不正データの削除が盛り込まれ、違法利用を巡る問題に一定の終止符が打たれる形となった。
訴訟回避を選んだ企業戦略
アンソロピックは2021年に設立され、アマゾンなどの大手IT企業が出資する新興勢力である。競合のオープンAIと並ぶ存在として注目される同社だが、訴訟を続ければ研究開発に遅れが生じる可能性があった。長期化を避け、早期解決によって事業の継続性を確保する方針に舵を切った。
他の係争への波及が懸念
今回の和解は、AIと著作権を巡る今後の訴訟に影響を与えると見られる。米国の報道機関は「著作権者に対し補償を行う動きが他のAI企業にも広がる可能性がある」と指摘している。生成AIの普及が加速する中、技術進展と権利保護をどう両立させるかが改めて焦点となる。