会談目前で強まる各国の懸念と期待
米国とロシアが8月15日にアラスカで会談する予定の中、ウクライナや欧州諸国は領土譲渡を伴う和平案に強い懸念を示している。戦争終結のための条件をめぐり、関係国の思惑が交錯している。
領土譲渡を拒否するウクライナの立場
ゼレンスキー大統領は、ロシアの要求は占領地域の合法化を狙うものだと非難し、「ウクライナの分割は二度と許さない」と断言。即時かつ恒久的な和平の実現を求め、将来の一時停戦には応じない姿勢を示した。クリミアや東部州をめぐる譲歩は受け入れられないと強調した。
欧州主要国が示す全面的支援
英国やフランス、ドイツなど欧州主要国は共同声明で、和平はウクライナの意向を尊重して進めるべきだと明言。武力による国境変更を否定し、引き続き軍事・経済・外交面での支援を続けることを約束した。欧州首脳らはまた、この問題が欧州の安全保障全体に関わると指摘した。
ロシア側の提示条件と不透明な部分
報道によれば、プーチン大統領はウクライナ軍のドネツク、ルハンスク州からの撤退を要求。ヘルソンやザポリッジャ両州については明確な立場を示しておらず、欧州当局はその意図を測りかねている。米政府は一部地域返還と引き換えに他地域のロシア支配を認める案を提示している。
合意形成への障壁と展望
トランプ大統領は「全員が平和を望んでいる」と述べ、3者合意の可能性を示唆したが、領土問題の隔たりは依然として大きい。ゼレンスキー氏の参加の有無や、交渉の着地点は不透明なままだ。アラスカ会談が実質的進展を生むかどうかは、関係国の妥協にかかっている。