米側要求かわし合意 日本の関税引き下げは回避
日米関税交渉が合意に達し、24日に赤澤経済再生相が帰国した。焦点となったのは、アメリカ側が求めた日本の関税引き下げ要求を回避しつつ、合意を成立させた点だ。赤澤氏は「極めて困難な調整だった」と語り、交渉の難しさを振り返った。
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石破首相の戦略が軸に 2月の首脳会談が転機
交渉の基盤となったのは、石破首相が今年2月にホワイトハウスで提示した「関税より投資」の方針だった。この理念をアメリカ側に継続的に伝えた結果、「双方の国益にかなう形での合意に至った」と説明された。赤澤氏は「首相の構想通りに交渉を運べた」と強調している。
日米で経済安保協力へ サプライチェーン構築が焦点に
今回の交渉では、経済安全保障の観点から日米でのサプライチェーン強化も確認された。これにより、両国が連携し主要物資の安定供給体制を構築する方向で一致。この戦略は、従来の単純な関税交渉とは異なる「投資主導型の連携」として位置づけられる。
中小企業への悪影響に対応 政府が支援体制を整備
政府は、合意の影響を受ける中小・小規模企業への対応として、融資支援や資金繰り支援を速やかに実施する方針を示した。赤澤氏も「丁寧に相談に応じる構え」と述べており、今後は政府と現場の連携が鍵となる。
合意実施に向け準備本格化 政府間文書の締結へ
今後、今回の合意内容を正式な日米政府間文書としてまとめる作業が進む見通し。石破首相は「合意の実施が最優先課題」とし、関連産業や労働者への不安を解消することに引き続き注力すると述べた。今後の焦点は、合意の着実な遂行と国内支援体制の充実である。