自動車関税15%でトヨタ急伸 市場に広がる波紋

井村 智規
经过

関税リスク後退で株式市場が活性化

米国時間7月22日、日米間の関税合意が成立し、日本企業にとって懸念材料とされていた自動車関連の輸出税率が15%に統一された。25%課税の可能性が示唆されていた中での大幅な譲歩となり、これが東京市場での株価急騰の引き金となった。

トヨタの時価総額が異例の伸び幅を記録

東京証券取引所において、トヨタ自動車の株価は前日比14.3%上昇し、時価総額はおよそ6兆円増加した。23日だけでこれほどの評価額が加算されたのは異例であり、市場における関税引き下げへの期待感を如実に示すものとなった。短期的な値動きでありながらも、企業の根本的価値に対する再評価が進んだ格好だ。

輸出型産業の株価に連鎖反応

トヨタの急伸に伴い、ホンダやマツダなど他の自動車銘柄にも買い注文が集中した。加えて、部品メーカーや輸送業など、自動車関連の広い業種にもプラス材料として働いた。東京市場では、特に米国依存度の高い企業ほど買い戻しが強まる展開となった。

製造業の先行きに明るさ 企業の反応も前向き

関税の緩和によって、製造業全体の利益構造に対する見通しが改善傾向にある。トヨタ関係者をはじめ、自動車業界では「今後の収益モデルに追い風になる」との見方が広がっている。為替や資材価格の影響に加え、関税負担の軽減は各社にとって極めて大きな支援材料となる。

政治判断と市場の連動性が浮き彫りに

今回の合意により、政治的な判断が市場に与える影響の大きさがあらためて明確になった。米国大統領の一言が、アジア市場の株価を1日で変動させることは、グローバル経済の相互依存性の強さを裏付けている。今後も政治発言や外交交渉の進展が、日本市場の短期的な方向性に大きな影響を及ぼす可能性がある。

この記事をシェア