コメ輸入枠の維持で農業界に安堵 米国比率は拡大へ

早瀬 涼真
经过

合意内容に「最善の結果」との評価広がる

日米間で新たに合意された関税交渉において、小泉進次郎農林水産相は「想定の範囲内で最善の結果を得た」と述べ、国内農業界への影響を抑える形となったことを評価した。今回の合意では、MA米の総量を変えずに米国からの調達割合を高める方向が確認された。

現行の77万トン枠を維持 市場開放は否定

農水省は、最大年77万トンのミニマムアクセス米枠を維持する方針を継続する。その中で調達先を調整し、米国比率を増やす仕組みを採る。他国からの調達分を米国産に振り替える形となり、全体の枠自体に変更はないため、新たな市場開放とはならない。

コメ品種の再編で米国産比率が自然増加

農水省では、すでに2025年度の入札において中粒種の採用割合を高める方針を示していた。これは日本の消費者ニーズに合致する米であるためだ。中粒種の生産が多い米国産米の比率が、こうした方針によって自然に高まる可能性があり、交渉内容とも整合性があるとされる。

トランプ氏の発言と国内の見解に隔たり

アメリカ側では、トランプ大統領が「市場開放」と強調した発言を行っているが、小泉農相はこれを「事実とは異なる」と明確に否定した。国内の農業関係者に誤解が広がらぬよう、正確な説明を続けていくとした。日本政府としては、既存の枠組みを超える開放には応じていない立場を取っている。

政府交渉団への信頼感が強まる

小泉農相は、交渉を担った赤沢亮正経済財政・再生相らについて、「農業を犠牲にしないという方針に沿った対応だった」として感謝の意を示した。結果的に、日本の農業基盤を守る形での交渉成果と受け止められており、農業界にも一定の安堵感が広がっている。

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