米中合意受けて6月の対米出荷が急増
2025年6月に中国から米国へ輸出されたレアアース磁石は353トンで、前月と比較して約7.6倍(660%の増加)となった。この背景には、同月に両国が輸出制限の緩和について合意したことがある。これにより、停滞していた輸出許可の手続きが一部解消された。
全体輸出量も回復傾向 前年比では依然減少
世界全体への6月の輸出量は3,188トンで、前月比157.5%増を記録した。一方で、前年同月比では38.1%減と、依然として低水準にある。2025年1〜6月の累計輸出量も前年同期比18.9%減の22,319トンにとどまっており、市場の本格回復には至っていない。
4月の規制強化が招いた一時的な供給停滞
中国は2025年4月、米国の関税強化に対する報復措置として、ジスプロシウムなどの特定レアアースを輸出制限リストに加えた。これにより許可取得が難航し、4月から5月にかけて輸出量が急減。部品の供給が滞ったことで、一部の海外自動車メーカーでは生産の一時停止に追い込まれた。
日本を含む他国向け輸出も回復基調
米国以外でも輸出は回復しており、日本向けには前月比で約5.1倍となる131トンが出荷された。中国政府が輸出審査体制を見直したことで、申請から承認までの時間が短縮され、物流の再開が加速している。今後も各国への供給が順次回復する見通しだ。
輸出正常化に向けた試金石となる7月以降
アナリストによれば、6月に多くの業者がライセンスを取得できたため、7月以降の輸出量はさらに増加する可能性が高い。ただし、規制強化の影響が完全に解消されたわけではなく、各国は引き続き代替供給源の確保に取り組んでいる。