国際協調への疑念が会議の空気に影
7月17日に南アフリカで始まったG20財務相・中銀総裁会議では、主要国間の立場の違いが早くも表面化した。米国の保護主義的姿勢と代表不在が会議の調整力を弱め、G20の機能的限界が改めて問われている。特にアメリカの不参加が建設的な議論の妨げになっていると指摘されている。
米国の高関税政策が世界経済に打撃
トランプ大統領は8月1日から追加関税の実施を計画しており、全輸入品に一律10%の関税を課すほか、鉄鋼・アルミ・自動車・医薬品にはそれぞれ最大200%に及ぶ高率の関税を適用する構えだ。多くの新興国がその対象とされ、サプライチェーンや経済成長に深刻な影響が及ぶことが懸念されている。
中国融資の鈍化と資金ギャップが深刻化
アフリカ諸国はこれまで中国の「一帯一路」構想に基づく資金供給に依存してきたが、近年は貸し出しが鈍化している。約8000億ドルの対外債務がGDPの45%に迫る水準に達しており、追加資金の調達は困難を極めている。融資条件の透明性と公平性が今後の課題として浮上している。
アフリカへの支援減少に懸念強まる
アフリカに対する資金供給の25%を担う米欧からの支援も縮小傾向にある。米国では対外援助の停止、欧州では国防予算への転用が進んでおり、アフリカ開発への直接的な資金投入が鈍化している。これにより、投資環境の悪化とマクロ経済の先行き不透明感が一層強まっている。
気候政策でも孤立を深めるアメリカ
G20において気候変動関連の金融リスクに対応する新方針が提案されたが、米国は複数の専門部会から脱退し、協調体制への関与を拒否する姿勢を示している。こうした動きは、気候政策の分断を象徴するものとして、国際社会の懸念材料となっている。