巨額買収が頓挫、セブンは独自路線へ回帰
カナダの流通大手アリマンタシォン・クシュタールが、日本のセブン&アイ・ホールディングスへの買収提案を取り下げたと7月16日に発表した。約7兆円規模の案件は不成立となり、セブンは独立した経営体制を維持する方針を固めた。クシュタールは「建設的な協議がなかった」と批判し、今後の敵対的買収も否定した。
買収阻止に向けたセブン側の防衛策とは
セブン側は、買収提案に対抗する形で、本業であるコンビニ事業に経営資源を集中する再構築方針を打ち出した。また、創業家を中心に非上場化を前提とした買収計画を昨年秋に検討したが、資金確保が困難となり頓挫している。こうした背景には、セブンが社内外の改革を急ぐ事情がある。
米国市場統合に潜む法的リスクが障害に
両社が展開する米国内の店舗網は非常に広範で、統合が進めば市場の寡占化につながる可能性がある。このため、米当局による独占禁止法違反の審査が想定されており、実際に一部店舗の売却で合意はしていたものの、交渉の進展には至らなかった。
低迷する国内事業が経営圧迫の要因に
セブンの国内コンビニ部門では収益の伸び悩みが顕著で、2025年3〜5月期における営業利益は前年比で2桁の減少を記録した。一方で、海外事業の収支は持ち直しつつあるものの、効果は人件費圧縮など短期的施策に依存しており、長期的な成長には至っていない。全社的な抜本改革が不可避となっている。
中期経営計画に期待される再建の道筋
今回の買収撤回を受け、セブンは単独経営による企業価値向上策の継続を表明。来月には新たな中期経営計画を発表予定で、収益改善への具体策が示される見通しだ。市場や株主は、今後の戦略転換が成果を挙げられるか注視している。