観察対象外の家族に異例の捜索 資金の出所を捜査

宇津木 柊
经过

公安調査庁の立ち入り検査に家族が応じず

2025年3月、公安調査庁は松本智津夫元死刑囚の妻と次男が暮らす埼玉県越谷市のマンションへの立ち入りを試みたが、家族がこれに応じなかった。この対応を受け、団体規制法に違反する可能性があるとして埼玉県警に告発し、4月には警察による家宅捜索が実施された。

現金が多数保管されていた状況が判明

捜索の結果、部屋の中からは小分けにされた状態の現金が数千万円単位で見つかっている。資金の出どころや使用目的については不明であり、警察と公安当局は、かつての教団組織との関係があるかどうかも含めて調査を進めている。家族はいずれの後継団体にも属していないとされているが、当局は動向に注視していた。

現在も続く後継団体の活動と監視体制

教団の分裂により誕生した3つの後継団体は、現在も活動を続けており、公安当局の観察対象とされている。「アレフ」や「ひかりの輪」などの団体には、立ち入り検査や資産報告の義務が課されている。信者数は2025年7月時点で合わせて約1,600人とされ、依然として一定の影響力を保持していると見られている。

アレフに対する制限措置と未報告資産の存在

アレフに対しては、公安審査委員会が「再発防止処分」を継続して適用しており、全国にある教団関連施設の多数が使用制限を受けている。さらに、2024年時点で報告されていない資産が少なくとも7億円存在するとされ、当局はその管理状況にも警戒を強めている。

賠償金支払い義務と資産減少の実態

オウム事件の被害者や遺族を支援する団体がアレフに賠償を求めた訴訟では、2020年に約10億円の支払いを命じる判決が出ている。しかし、報告されているアレフの資産は急減しており、2025年2月の時点で6,000万円台にとどまる。支払い義務は履行されず、資金の所在や動きが問題視されている。

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