米価上昇の影響で主食用作付けが急拡大

宇津木 柊
经过

米生産の構造転換が顕在化

2025年産の主食用米の生産見込みが前年比56万トン増の735万トンに達すると農水省が明らかにした。これに伴い、作付面積も10.4万ヘクタール増加し、全体で136.3万ヘクタールに広がる見通しだ。今回の動きは、長年続いた主食用米の縮小傾向を大きく転換させるものとなった。

統計開始以来の最大伸び率を記録

農水省の作付意向調査が始まった2004年以降で、今回の増加規模は最も大きなものとなった。4月時点からの伸び幅も16万トンに達し、生産者の機動的な判断が数字に表れている。市場でのコメ価格の高止まりが、こうした動きを強く促したとみられる。

政策的後押しと首相の方針

石破首相は7月初旬の会議で、25年産からの増産を明言していた。これを受けて、政府は備蓄米買い入れの入札中止措置を取り、市場流通を優先する政策に転換している。国全体として、需給バランスの是正に本腰を入れた格好だ。

農家の選択が飼料・加工用から変化

供給不足を背景に、農家はこれまで生産していた飼料用や加工用米から主食用へシフトしている。農水省幹部は「農家の生産能力がまだ高いことの証左だ」と語り、農業基盤の回復力にも言及した。

酒米への影響と支援策の検討

主食用に面積が集中することで、酒造用米の不足が業界に懸念をもたらしている。小泉農相はこの問題に対応すべく、26年度予算に向けた支援策の具体化を指示。事業者の声を踏まえ、施策の調整が進められる予定である。

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