イラン・イスラエル間の対立緩和で市場が反応
2025年7月上旬、原油市場ではイランとイスラエルの対立が沈静化し、緊張緩和の兆しが見られた。これにより原油価格が下落し、国内の燃料価格も下落へと転じた。経済産業省が7日に調査したガソリン価格は、全国平均で前週より60銭安い173円60銭を記録し、3週ぶりの値下がりとなった。
175円基準が補助金制度の境界線に
政府は燃料価格対策として、175円を基準に補助金の追加支給を判断している。7月10日からの1週間は、この基準を下回ると見込まれたため、追加補助は実施されず、1リットルあたり10円の固定補助のみが適用される。この制度は、価格安定と財政負担の両立を意図して運用されている。
地域差が反映する価格構造の実態
都道府県ごとのガソリン価格では、愛知県が167円20銭で最も安く、鹿児島県が183円90銭と最高値を記録した。42の道府県で価格が下がっており、全国的に価格の安定が進んでいる様子がうかがえる。ただし、流通コストや地理的要因の影響で、地域間の価格差はなお顕著である。
軽油・灯油の下落が家計に与える影響
レギュラーガソリンと同様に、軽油と灯油も価格が下がった。軽油は1リットルあたり153円80銭となり、前回から60銭の下落。灯油は家庭用タンク1本分に相当する18リットルで2205円となり、6円値下がりした。燃料価格の低下は家庭や中小企業のコスト負担軽減にもつながる。
緊張再燃の可能性が市場に影を落とす
一方で、中東情勢が再び緊迫化すれば、原油価格の反転上昇も起こり得る。国際市場の動揺が国内価格に即座に反映される構造であるため、情勢変化には今後も注意が必要だ。燃料価格の安定には、国際政治と経済政策の両面からの対応が求められる状況が続いている。