仮想通貨詐取の構図明らかに、課金代行の裏側

井村 智規
经过

12人の利用者が不正入手に加担した構造

オンラインゲームにおける仮想通貨の不正取得に関与したとして、20歳代から60歳代の男女12人が警視庁に摘発された。彼らは正規の課金を避ける目的で、「課金代行業者」とされる第三者に依頼し、安価でゲーム内通貨を取得していた。この手口により、ゲーム運営企業はおよそ3,000万円相当の被害を受けたという。

RMT市場の闇とユーザー側の責任

容疑者らは「RMT(リアル・マネー・トレード)」専門のウェブサイトを通じて、第三者に課金代行を依頼。代行業者は不正に通貨を取得し、ユーザーへ提供していた。ユーザーは通常の2~6%程度の負担で高額の通貨を手に入れていた。これにより、利用者自身も結果的に不正に加担する構造が形成されていた。

被害に遭ったのはセガとスクウェア・エニックス

今回の摘発で明らかになったのは、標的となったゲーム会社がセガスクウェア・エニックスだったこと。これらの企業が運営するゲームは大規模かつ人気が高く、不正による影響も大きい。会社側は警視庁と連携し、ユーザー情報の追跡や通貨の取得経路の確認を進めているとみられる。

利用者の認識と法的リスクのギャップ

12人のうち大半が容疑を認めており、「違法性は薄いと思っていた」などと供述している。しかし、電子計算機使用詐欺は刑事罰の対象であり、無自覚な利用であっても罪に問われる可能性がある。課金代行という行為に対する法的理解の不足が、今回の摘発を招いた一因といえる。

課金代行による不正は依然として続く懸念

警視庁は、今回の事件は氷山の一角に過ぎないと見ている。これまでに確認された課金代行による不正取引の被害総額は10億円を突破しており、RMT市場を中心に、同様の手口が蔓延している可能性がある。警察は「このような手段に頼ることは犯罪に加担することに等しい」として、安易な利用を控えるよう呼びかけている。

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