海外人材誘致へ大学支援強化 背景に米国の政策転換

宇津木 柊
经过

米国の科学予算削減が研究者流出を引き起こす

アメリカでは科学分野の予算が削減される動きが進行しており、研究機関における人員整理や支援停止が相次いでいる。背景にはトランプ大統領の政策方針があり、こうした影響で研究者の国外流出が顕著になっている。

日本政府が人材獲得を国家戦略として位置づけ

日本の文部科学省は、この機を捉えて優秀な海外研究者を国内に招く戦略に転じた。特に将来の研究基盤を担う若手人材や博士課程の学生を対象に、受け入れ大学に33億円規模の助成を決定している。

雇用・研究環境整備費に広く助成を適用

この助成制度では、「大学ファンド」の収益を緊急投入し、受け入れ大学の研究環境整備を後押しする。支援金は、雇用経費から研究室設備まで柔軟に使える設計となっており、大学側にとって実務的な負担軽減が見込まれている。

受け入れ計画の内容に応じて今後の対応も拡張

支援対象は、研究者の受け入れ計画を提出した大学に限定される。文科省は計画内容を審査し、2025年9月をめどに選定作業を実施。さらに、応募状況によっては追加的な支援措置の実施も検討する構えを見せている。

学術国際競争での優位性確保が焦点に

本施策は、国際的な人材獲得競争において日本が主導権を握る意図を持つ。米国の支援縮小により生まれた隙間を突いて、質の高い研究者を誘致することで、学術力の底上げを図るのが狙いだ。各大学がどれほど成果を上げられるかが今後の焦点となる。

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