法整備によるネット環境の規律強化を狙う
「みんなでつくる党」は、2025年7月2日に発表した参院選の政策公約で、インターネット上で広がる誹謗中傷に対して強い対応策を掲げた。特に、匿名投稿による攻撃の温床となっている現行の制度に対し、「ネット空間は無法地帯に近い」との問題意識から、法整備を通じた規律の導入を前面に打ち出した。
加害者への経済的制裁を制度化する構想
新たに提示された制度の中でも注目されるのが、米国式の高額賠償金制度の導入である。匿名性に守られた加害者に対し、経済的リスクを明確に提示することで、安易な誹謗中傷の抑止を狙う。党は「加害者側の責任を曖昧にしたままでは、被害の再発を防げない」とし、罰則の強化が不可欠であると訴えている。
ログ保存と事業者義務による実効性の確保
対策の実効性を高めるためには、インターネット事業者への法的義務化が不可欠だとした。具体的には、通信履歴(ログ)の保存期間を1年以上に引き延ばすほか、開示請求に際しプラットフォーム側の協力を義務付ける法制度の整備が盛り込まれている。これにより、投稿者の特定を容易にし、被害者の泣き寝入りを防ぐ狙いがある。
捜査の迅速化を可能にする全国データ連携
被害対応の迅速化のためには、警察間の情報共有体制も見直される。党は、全国警察での誹謗中傷データベースの統合構築を提案し、複数地域にまたがる被害の把握と連携を強化する方針を示した。これにより、個別対応では追いつかないネット犯罪への包括的な対応が可能になると見込まれる。
候補者制度の見直しで選挙の透明性を向上
また、ネット対策と並行して、選挙制度における改善策も公約に含まれた。ポスターにおける候補者の顔写真掲載の義務化や、供託金制度の再検討によって、責任ある立候補を促す環境整備が意図されている。これにより、有権者にとって分かりやすく、公正な選挙活動が期待される。