政策金利を0%に引き下げた背景とは
スイス国立銀行は6月19日、政策金利を0.25%から0%に引き下げた。マイナス金利を解除した2022年以降、最も低い水準への変更であり、物価の低迷と通貨高が判断の中心にあったとみられる。
物価指標がマイナス圏に転落
スイスでは最近、消費者物価が前年同月比で0.1%のマイナスを記録した。物価が継続して下がる傾向が見られ、デフレ懸念が高まっている。中央銀行としては、金利政策でこの流れを食い止める必要に迫られていた。
為替市場の動きが国内価格を圧迫
米国の関税政策を受けてドル売りが進行し、相対的に安定資産とされるスイスフランが買われる展開となった。このフラン高により、輸入品価格が下落し、スイス国内の物価を押し下げる構図が強まっている。
金融政策で経済減速に歯止めをかける狙い
スイス国立銀行は、海外経済の不確実性をリスク要因として挙げており、国内経済の停滞を警戒している。今回の利下げは、インフレ目標の達成だけでなく、景気後退への予防的措置とも受け取られている。
欧州の金利政策にも影響か
スイスの動きは、他のヨーロッパ諸国の中央銀行にも波及する可能性がある。とくに輸出競争力や為替の安定性が問われる中で、近隣諸国の政策判断にも注目が集まる。今後の国際的な金融環境の変化を見据えた対応が求められる。