実態反映へ向けた作柄評価改革が始動

早瀬 涼真
经过

長年の基準を見直し 農政の転換点に

6月16日に行われた記者会見で、小泉進次郎農林水産相は、1956年から続いてきた「作況指数」の運用を2025年産から終了させると発表し、新たな評価方式への転換を明らかにした。長年続いた制度に区切りをつける形となる。

指標の信頼性に疑問 価格と供給にズレ

作況指数は過去30年の平均を基準に、当年の収量を相対的に評価するものだった。しかし昨年、指数上は「平年並み」にもかかわらず、供給不足感と価格高騰が同時に発生。指標が現場感覚にそぐわないとの不満が浮き彫りとなっていた。

実態に基づく比較へ移行 農家への影響軽減

今後は前年との比較でコメの出来具合を表す方式に転換される。これにより、生産者が抱く実感との乖離を軽減し、現実的な政策判断が可能になる。加えて、現在行われている全国規模の収量調査も維持され、データの連続性が確保される見通しだ。

新基準と技術導入で情報精度向上へ

玄米のサイズを判別する「ふるい目」基準は、実際に多くの農家が使用する1.8〜1.9ミリへと変更される予定だ。また、人工衛星データや大規模農家からの直接収集によって、迅速かつ正確な情報取得が目指される。

現場との連携重視 柔軟な農政実現へ

小泉氏は「新たな判断基準を農政の軸に据える」とし、現場の声を反映させる政策形成を掲げた。指標の見直しは、従来の硬直的な制度運用からの脱却を意味し、より実態に即した農業支援体制構築への第一歩となる。

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