強権化する対応に懸念広がる米国内の抗議運動

井村 智規
经过

各地に波及する反発の動きが続出

アメリカ国内では、移民に対する一斉摘発を受け、反発の動きが急速に拡大している。6月11日には西部のロサンゼルスだけでなく、ワシントン州スポケーン市でも大規模な抗議デモが確認され、同様の混乱が各地で顕在化している。

軍事的な展開に対する地元当局の反発

連邦政府はロサンゼルス地域に4700人の軍人と州兵を投入しており、訓練を終えた700人の海兵隊員は48時間以内に行動開始予定である。これに対し、カリフォルニア州のニューサム知事とロサンゼルス市のバス市長は、こうした措置が事態の沈静化ではなく緊張を煽るものだと強い懸念を表明している。

夜間外出禁止令に発展したスポケーンの事態

スポケーン市では同日、数十人のデモ参加者が拘束され、市長は非常事態宣言を発出した上で、一部地域における夜間外出を制限する命令を出した。これは、治安維持を目的とした緊急対応であるが、表現の自由への影響も指摘されている。

軍事パレードと政権支持層へのアピール

今月14日にはワシントンD.C.で軍事パレードが計画されており、渡辺靖教授はこれを「政権に対する抗議の鎮圧と、支持層への政治的パフォーマンスの両面を狙ったもの」と指摘。移民政策への反発を抑え込むと同時に、軍の象徴的な利用が進んでいると分析した。

抗議の火種は今後も残り続ける可能性

専門家は、今回の抗議が単発的な現象にとどまらず、社会の他の課題でも同様の対立を引き起こすリスクがあると警告。共和党内部からの歯止めがかかるかどうかが今後の事態の分岐点になると見られている。

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