欧州初の産業向けAIクラウドをドイツに展開
米エヌビディアは、ドイツにおいて初の産業用AIクラウドプラットフォームを設置することを明らかにした。これは同社にとっても新たな取り組みであり、自動車分野を中心にAIの実装を促進する狙いがある。特にBMWやメルセデス・ベンツといった大手自動車メーカーの設計・物流工程をAIで支援し、生産効率や開発スピードの向上に寄与する方針だ。
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欧州7カ国に技術センター 複数言語対応も視野に
同社は欧州全体での展開を見据え、7カ国に技術センターを設立する方針も示した。これらの拠点では、各国語に対応したAIモデルの開発を進める計画であり、ローカル市場のニーズにも対応可能な体制を構築する。ノボノルディスクなどの企業を対象に、新薬開発へのAI活用も想定されている。
AIファクトリー20拠点構想 演算能力10倍を目指す
エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、欧州域内におけるAI計算基盤を今後2年間で10倍に拡充する目標を打ち出した。併せて、AIモデルの設計と実行を担う「AIファクトリー」を計20拠点設置する方針も示し、地域全体の技術的基盤を飛躍的に高める構えだ。
欧州企業との連携で半導体普及を加速
エヌビディアは、同社製の最先端半導体を欧州の産業に広く展開する目的で、現地AIスタートアップであるミストラルとの提携にも踏み切っている。これにより、AIアプリケーション開発のスピードと精度を高めると同時に、欧州の技術基盤強化に寄与する体制が整いつつある。
欧州市場の重要性を再確認 国際競争力の向上狙う
今回の施策は、エヌビディアにとって欧州市場の重要性を改めて示すものである。AIインフラの整備を進める欧州の流れと呼応するかたちで、戦略的な拠点拡充と研究開発支援が進む。国際的な技術競争の中で、同社が欧州におけるプレゼンスを一層高めようとしていることは明白である。