初の主導となる魏CEOの発言に注目集まる
6月3日に開かれたTSMCの株主総会では、会長に就任した魏哲家氏が初めて総会を主導し、経営の方向性を説明した。世界的な経済の先行きが不安視される中、同社の成長戦略が焦点となった。
トランプ関税政策再燃が業界に波及の兆し
トランプ前米大統領が打ち出した高関税政策が復活する可能性があり、それに伴い世界経済の見通しが不透明となっている。TSMCも例外ではなく、米国を中心とした需要動向やコスト構造の変化にどう対応するかが問われている。
アメリカへの巨額投資で拠点拡充を加速
TSMCは2025年3月、1,000億ドルを超える規模で米国への投資を発表した。これには先端工場の建設や研究設備の整備が含まれ、米国市場での存在感を高めることが狙いとされる。トランプ氏の政策と歩調を合わせた動きと見られている。
半導体供給の安定性確保を最優先課題に
台湾を取り巻く地政学的なリスクを背景に、企業としての供給網の強化が必要となっている。米国投資はリスク分散の一環でもあり、台湾一極集中からの脱却を意識した対応として受け止められている。
研究開発とグローバル展開の両面戦略
魏CEOは今後の技術開発についても言及し、AIや次世代機器向けの高性能半導体の研究開発を継続すると表明。製造・供給・研究の3本柱を強化し、変動の激しい国際情勢の中でも安定した成長を図る姿勢を明確にした。