閣僚初の辞任検討で石破政権に緊張高まる

長峰 詩花
经过

問題発言が政界に波紋

江藤拓農相が「コメを買ったことがない」と発言し、野党のみならず与党内からも強い批判が巻き起こった。コメの供給不足と価格高騰が深刻化する中、農相としての認識の欠如が浮き彫りになった形だ。この発言は18日の佐賀市での講演中に出たもので、「もらったコメに石が混じっていて大変」といった不用意な表現も含まれていた。

野党の圧力で辞任不可避の情勢に

20日、立憲民主党の野田代表は「適任ではない」と断じ、翌日に予定される党首討論で首相の任命責任を正面から追及する構えを見せた。その後、野党5党の幹部が国会で協議し、江藤氏の更迭を求める方針で足並みをそろえた。不信任決議案の提出も選択肢として浮上し、野党が多数を占める衆院では可決の可能性が極めて高い情勢だ。

首相の擁護発言が逆風に

石破首相は同日午前の衆院本会議で、江藤氏を続投させる考えを表明しつつ、「発言は消費者と生産者双方に配慮を欠くもので極めて不適切だった」として謝罪した。しかし、この対応は野党の結束を緩めることにはつながらず、むしろ政権の危機管理能力への疑問を呼んでいる。内閣支持率が低迷する中、与党内でも辞任容認の声が強まっている。

与党内にも動揺広がる

石破政権において不祥事による閣僚辞任は初めて。公明党の西田幹事長は「国民感情への無理解が甚だしい」と批判し、自民党の鈴木総務会長も「政権への不信が拡大しかねない」と指摘した。7月の参院選を控え、今回の対応が選挙戦にも影響を与えることは避けられない見通しだ。

政治家一家のキャリアに影響も

江藤氏は宮崎2区選出のベテラン議員で、父も自民党の元閣僚。2019年に第2次安倍政権で農相に就任し、今回が2度目の入閣だった。農業支援団体との強い結びつきがある中での発言だけに、政界での信頼失墜は大きく、農業政策全体の見直しにも波及する可能性がある。

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