工場現場の革新へ、AIで故障診断を高速化

笠原 美琴
经过

高精度と迅速な応答で実力を示すAI技術

ダイキンと日立が共同で開発したAIエージェントが、堺製作所において試験的に導入された。このシステムは、生産設備の異常を検知後、10秒以内に90%を超える精度で原因を特定し、対応策を提示できる。工場の設備情報や保全履歴を基に生成されたナレッジグラフと、日立独自の故障分析手法を融合させたことで、実用レベルの診断性能が実現している。

現場知識とAI技術の融合が生む効果

OT(制御・運用技術)とITを組み合わせた本技術は、熟練技術者の経験を再現できるのが特長だ。保全担当者がタブレットで点検中に設備異常を発見すると、即時にAIが回答を返す。特に、STAMPを応用した原因分析が高精度診断を支えている。

世界規模での生産品質向上を目指す

本技術は、ダイキンの全世界90カ所以上の生産拠点への展開が視野に入っている。保全業務の標準化と人材不足への対応、さらには技術の伝承にもつながる。AIが保全技術者と同等の診断力を持つことで、現場の知識を可視化・共有可能となった。

日立のLumadaとして製造業へ応用展開

日立は、このAIエージェントを「Lumada」ソリューションの一環として他社製造業へも提供する計画だ。今後は保全以外の分野にも応用が期待されており、業務効率化と生産性向上の鍵として注目される。

製造現場の課題解決に向けた継続的な協創

日立とダイキンはこれまでも、技能伝承や製造工程のデジタル化を通じた協創を進めてきた。今回のAIエージェント導入は「止まらない工場」の実現に向けた新たな一歩であり、労働力不足や保全品質のばらつきといった現場課題の解決に貢献する。

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