組織工学の新たな成果を研究チームが公表
大阪大学の研究チームが、人のiPS細胞を用いたミニ肝臓の作製に成功したことを明らかにした。研究では、役割の異なる複数の肝細胞を人工的に混合し、機能を発揮する組織を再構築。今回の成果は、iPS細胞による臓器構築の技術的進展を示している。
機能的な肝臓の再現が可能に
作製されたミニ肝臓は約5ミリの大きさで、糖代謝などの基本的な肝機能を備えている。細胞を混ぜ合わせることにより、単一の細胞では実現が難しかった機能の再現に成功。これにより、より生体に近い肝臓モデルの構築が実現された。
ラット実験で高い効果を示す結果に
ミニ肝臓を肝不全状態のラットに移植した実験では、30日後の生存率が約50%に向上。従来の手法と比較して明らかに高い効果が確認された。特に、複数細胞を組み合わせたモデルが、単一細胞のものよりも効果的であることが証明された。
今後の課題と研究の展望
移植後の安定的な機能維持や長期的な効果、安全性の確保など、今後の研究課題は依然として多い。肝臓のような高機能な臓器の人工的再現には、引き続き精密な評価が必要とされる。研究の進展が、今後の臨床応用にどのように繋がるか注目されている。
医療現場への導入へ向けた取り組みに期待
研究チームは2〜3年以内の臨床試験への移行を見据えており、再生医療の実用化へ向けた取り組みが加速している。肝移植の代替や補助治療としての可能性が高く評価されており、医療現場への導入が現実味を帯びつつある。