日本市場での展開を明言、EV製造での協業視野に
台湾の大手電子機器メーカー、ホンハイ精密工業が4月9日、都内で開催した説明会において、今後の電気自動車(EV)事業戦略を明らかにした。日産自動車の元幹部で、現在は同社EV部門責任者を務める関潤氏が登壇し、日本の大手自動車メーカーとの連携を視野に入れた受託生産の拡大方針を打ち出した。
乗用・商用を含む8車種、製造拡大へ
関氏は同社がこれまでに開発したEV車両が8車種に上ることを明かした。これには乗用車のみならず、商用車やEVバスも含まれており、すでに一部の車種は日本国内での導入が予定されているという。
「我々は運送事業者から自動車メーカーまで、幅広い企業に製品を提供する体制を構築している」と関氏は述べ、日本市場での受託生産体制をさらに拡充する方針を強調した。
日本との“親和性”を強調、提携の可能性高まる
今回の説明会では、「日本との親和性が高く、EV事業においてもチャンスは大きい」との見解も示された。ホンハイはすでに、日産自動車との協業に関心を示しているほか、三菱自動車へのEV供給についても検討しているとされている。
同社のEV事業は5年前から本格化しており、スマートフォンなどの電子機器受託製造で培った生産体制と技術力を背景に、自動車産業への本格進出を進めている。
日本メーカーにとっても魅力的な選択肢に
ホンハイは世界最大級の受託製造企業であり、高い製造効率とコスト競争力を備えている。国内の自動車メーカーにとっても、同社との連携は開発・製造の最適化という面で魅力的な選択肢となり得る。
特に、世界的にEVシフトが加速する中で、開発コストや製造負担の分散が課題となっている国内メーカーにとって、ホンハイとの協業は戦略的メリットをもたらす可能性がある。
EV業界の提携構図に変化も
ホンハイのEV事業に対する姿勢は極めて積極的であり、日本企業との提携が実現すれば、国内EV業界の勢力図に影響を与えることは必至だ。EV開発・製造における国際的な提携構図は、今後さらに流動化が進むと見られる。
今後、日系大手との提携がどこまで進展するのか。ホンハイの動向は、日本のEV戦略にも新たな選択肢と競争をもたらしそうだ。