わずか13時間で関税政策を停止 背後にある混乱と意図
2025年4月9日、トランプ政権は相互関税の上乗せ措置を発動からわずか13時間で停止するという前例のない判断を下した。停止期間は90日間とされ、この措置には各国・地域との交渉機会を確保する狙いがあるとされる一方で、混乱が広がっていた金融市場を落ち着かせるための緊急対応との見方も広がっている。
市場に動揺、発表後は「安心買い」へ転換
トランプ政権による相互関税措置の発表直後、米国内では株式、債券、通貨がそろって売られる「トリプル安」が進行。これにより市場は混乱し、貿易摩擦や景気後退への懸念が広がった。しかし、午後の措置停止発表により市場心理が一変。米株式市場は史上最大の上昇幅を記録した。
政策の一貫性欠如が批判の的に
米議会では、政策の一貫性のなさが改めて問題視されている。トランプ大統領はこれまでにも関税政策において、事前の説明なく急な方針転換を繰り返してきた。今回はまさにその典型であり、戦略や計画性が感じられないとの批判が高まっている。
公聴会の最中に発表、混乱の象徴に
停止の発表は、下院での貿易政策に関する公聴会中に行われ、出席していた通商代表部のグリア代表は「直前の決定だった」と説明。議会関係者の間では、政権内部の調整不足と場当たり的な意思決定の姿勢に不信感が強まっている。
先行き見通せぬ貿易政策に市場は警戒感
90日後に再開の可能性が残されている中、今後の動向にも注目が集まる。市場関係者からは、「トランプ政権の即興的な政策は予測が難しく、リスク回避の動きが続く」との声が聞かれた。米国の貿易政策の不確実性が、グローバル経済に与える影響は引き続き注視される。