東芝の純利益が4兆円超へ急拡大
東芝が8月7日に発表した2026年4~6月期の連結決算で、最終利益は4兆4673億円となり、前年同期のおよそ30倍まで膨らんだ。3カ月間の利益だけで、同社がこれまで通期で記録していた最高水準を上回る規模となった。保有する半導体大手キオクシアホールディングスの株価上昇が、今回の決算を大きく押し上げた。
売上高も前年同期比27.0%増の9371億円となり、事業活動による収益も拡大した。本業から得た営業利益は1119億円で、前年同期のおよそ2.8倍となった。株式関連の利益だけでなく、主要事業でも前年を上回る業績となっている。
キオクシア関連で6兆円超の利益計上
利益増加の最大の要因となったのが、東芝が株式を保有するキオクシアホールディングスだ。東芝はキオクシア株の売却益や保有株式の評価益などとして、6兆3294億円を計上した。巨額の営業外利益が加わったことで、最終的な利益が通常の事業規模を大きく上回る水準まで増加した。
東芝は2017年に半導体事業を分社化しており、現在もキオクシア株の15.1%を保有している。キオクシアの株価が上昇したことにより、東芝が持つ株式の価値も大きく高まった。こうした保有資産の評価変化が、2026年4~6月期の利益に直接反映された。
メモリ需要拡大が株価上昇を後押し
キオクシアの株価上昇の背景には、データセンター向けメモリ需要の拡大がある。生成AIを含むAI技術の利用が広がる中、大量のデータを保存するための半導体やフラッシュメモリへの需要が増えている。キオクシアはフラッシュメモリを手がける世界大手であり、市場環境の改善が株式価値の上昇につながった。
この株価上昇による評価益が、キオクシア株を保有する東芝にも波及した。東芝自身が半導体事業を直接運営して利益を得たのではなく、保有株式の価値が高まった影響が決算上の巨額利益として表れた点が今回の特徴となる。
本業でも売上高と営業利益が伸長
東芝の業績改善は、キオクシア関連だけに限らない。AI利用の拡大に伴ってデータセンター建設や設備増強が進み、電力を安定的に供給するための送配電設備への需要が増加した。こうした動きがエネルギー関連事業の収益を押し上げた。
データ保存に使われるハードディスクのほか、送配電設備や火力発電関連の事業も堅調だった。売上高が前年同期から27.0%増え、営業利益が約2.8倍となったことは、本業そのものでも収益力が改善したことを示している。AIを支える設備需要が複数の事業分野に広がった形だ。
資産価値上昇と本業成長が同時進行
今回の東芝の決算では、キオクシア株の評価益などによる巨額の利益と、本業の拡大が同時に表れた。最終利益4兆4673億円という規模には保有株式の価値上昇が大きく影響している一方、営業利益も前年同期を大幅に上回った。
大手証券会社によると、日本企業の3カ月間の決算では、ソフトバンクグループが2022年7~9月期に3兆円余りの最終利益を計上した例がある。東芝の今回の利益はそれを上回る規模となった。AI関連需要の拡大がキオクシア株の価値と東芝の事業収益の双方に影響した決算となった。
