首相秘書の説明書面を衆院予算委に提出
高市早苗首相の事務所は7月22日、中傷動画の制作や暗号資産を巡る報道に関し、首相秘書による陳述書を衆院予算委員会へ提出した。書面は同日開催された予算委員会の理事懇談会で、坂本哲志委員長から与野党の理事に示された。疑惑が国会で取り上げられる中、秘書本人の説明を文書として明らかにした形となった。
問題となっているのは、自民党総裁選や今年2月の衆院選に関連し、首相陣営が他候補などを攻撃する動画の制作に関わったとする指摘である。首相秘書は陳述書を通じ、一連の動画への関与を否定した。国会では、書面の内容を踏まえて事実関係を確認する動きが続く。
動画の制作や外部への依頼を明確に否定
陳述書によると、秘書は他の候補者を中傷する内容の映像を自ら作ったり、インターネット上で配信したりしたことはないと説明した。外部の人物に制作や発信を頼んだ事実についても否定している。第三者が依頼を受けて制作したとされる動画については、視聴した経験がなく、実際に存在するかも把握していないとした。
衆院選の期間中に動画の制作を依頼し、完成後に感謝を伝えるメールや短文メッセージを送ったとの指摘も退けた。秘書側では該当する通信記録が確認されず、そのようなやり取りをした記憶もないとしている。動画制作者とのメール交換を伝えた週刊誌の記事とは、説明内容が一致していない。
SNS関係者とのオンライン会議参加は認める
秘書は、2025年10月の自民党総裁選を前に、信頼する学者からSNS分野に詳しい人物を紹介されたと説明した。その後、この人物が参加するオンライン会議に出席した事実は認めている。ただし、会議の場で動画の制作や公開を頼んだことはなかったと主張した。
首相秘書は、高市氏の事務所には多くの人物から連絡や提案が寄せられるため、接触した全員を記憶しているわけではないとも説明した。動画を制作したとされる男性について、高市首相には面識のない人物だと報告したという。総裁選の広報業務は、この人物とは無関係な3社と契約して実施したとしている。
サナエトークンの発行承認も否定
高市首相の名前を含む暗号資産「SANAE TOKEN」を巡っても、秘書は事前の関与を否定した。暗号資産が発行され、市場で取引されることについて、前もって説明を受けた事実はなかったとしている。発行や取引を認めたこともないと強調した。
一方、「チームサナエ」と名乗るアカウントから送られた投稿を、秘書側がリポストした経緯も書面で説明された。先方から提供された文章に暗号資産との説明がなく、秘書はアプリに関する投稿だと理解していたという。内容を詳しく確認しないまま、相手の依頼に応じて拡散したとしている。
24日の集中審議で首相への質問へ
与野党は7月22日の理事懇談会で、24日に高市首相が出席する集中審議を開催することで合意した。審議時間は3時間とされ、中傷動画や暗号資産を巡る事務所側の対応も論点となる。首相自身が陳述書の内容や秘書の説明をどのように補足するかが注目される。
野党側の筆頭理事を務める中道改革連合の長妻昭氏は、秘書本人を参考人として国会へ招くよう求めた。さらに、国会閉会後にも集中審議を実施し、経緯を継続的に検証する必要があると主張している。提出された陳述書によって秘書側の見解は示されたものの、国会での確認作業は24日の審議へ持ち越される。
