バンダイチャンネル攻撃で浮かぶ10代サイバー犯罪の低年齢化 生成AI悪用と交流実態に警戒感強まる背景

笠原 美琴
经过

通信解析を趣味とした15歳生徒を摘発へ

動画配信サービス「バンダイチャンネル」への攻撃事件は、10代によるサイバー犯罪の低年齢化を改めて示す事例となった。逮捕されたのは埼玉県所沢市の15歳の男子高校生で、事件当時は中学3年生だった。警視庁は、運営会社の業務を妨害したとして偽計業務妨害容疑で逮捕した。

少年は通信解析を趣味としていたとされる。捜査関係者への説明では、通信解析をしていたところ偶然会員情報が見えたと話している。独学でプログラミングを学び、バンダイチャンネルを運営する会社のサーバーの弱点を見つけたとみられている。

今回の事件では、会員情報の閲覧にとどまらず、4万6812件のアカウントが無断で退会処理された。運営会社は対応のためサービスを一時停止し、利用者にも影響が広がった。警視庁は、少年の技術習得の経緯と攻撃に使われたプログラムの内容を調べている。

生成AIと自作技術が結び付いた悪用構図に

少年は、対話型生成AI「チャットGPT」を使って自作プログラムを作成したとみられている。警視庁によると、そのプログラムを用いて退会処理を繰り返した疑いがある。生成AIが犯罪の手段に利用された疑いがある点は、今回の事件の大きな特徴である。

生成AIは文章作成や学習支援などに活用される一方、使い方を誤れば不正プログラムの作成を助ける道具にもなる。少年は高度な専門機関で教育を受けたわけではなく、独学で得た知識とAIを組み合わせたとされる。

同様の問題はほかの事件でも表面化している。生成AIを悪用し、携帯大手「楽天モバイル」の通信回線を不正契約したとして、男子中学生が逮捕された事例もある。その中学生は、不正接続と契約を行うプログラムを開発し、高度な犯罪を実行して注目を集めたかったと供述していた。

ディスコード上の交流にも捜査の目が向く

若年層によるサイバー犯罪では、オンライン上の交流環境も注目されている。読売新聞の記事によると、こうした中高生は、ゲーム愛好家らが連絡に使うSNS「ディスコード」などで技術を披露し合っているという。今回の男子生徒もディスコードを利用していた。

少年が参加していたグループには、昨年12月にインターネットカフェ運営会社にサイバー攻撃を仕掛けたとして逮捕された高校生もいたとされる。警視庁は、技術共有や交流が事件にどのように関係したのかについても確認している。

オンライン上では、技術情報が短時間で広がる。正当な学習や研究につながる一方、不正行為に使われれば被害は一気に拡大する。今回の事件は、未成年が参加するネット上の技術コミュニティーと犯罪行為の距離が近くなる危うさを示した。

10代の不正アクセス摘発が全体の3割超に

警察庁の統計では、昨年1年間に不正アクセス禁止法違反容疑で摘発された248人のうち、81人が10代だった。割合は32%に上る。サイバー犯罪の担い手として、未成年や若年層が一定の比率を占めている実態が示されている。

今回の事件でも、少年は15歳だった。事件当時は中学生でありながら、企業のサービスを停止に追い込むほどの影響を与えた。若年層によるサイバー犯罪は、単なるいたずらでは済まない規模に達している。

警視庁幹部は、安易な気持ちで行った行為が企業に多大な被害を与えると警鐘を鳴らしている。技術を持つ若者が増える中、法令や倫理への理解を深める取り組みが重要になっている。摘発数の増加は、教育と予防の必要性を示す数字でもある。

安易な技術悪用が企業被害を拡大させる

バンダイチャンネル事件では、少年が企業への恨みを否定している。今回の容疑については、ログインできるアカウントが多数あったため実行した趣旨の説明をしている。動機が強い敵意でなくても、結果として企業の業務と利用者に大きな影響を与えた。

運営会社は、4万件を超えるアカウントの退会処理に対応するため、サービスを一時停止した。攻撃を受けた会社から警視庁に相談があり、事件が発覚した。会員情報の閲覧に関する不正アクセス容疑に続き、業務妨害の容疑でも捜査が進められた。

今回の事件は、生成AIや独学の技術が広がる時代に、悪用防止の仕組みと若年層への啓発が欠かせないことを示している。知識そのものは有用であっても、使い方を誤れば重大な犯罪につながる。企業側の防御強化と、技術を学ぶ側の責任ある行動が同時に求められる。

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