骨太原案が財政目標を見直し、投資主導の中長期経済運営を明確化

宇津木 柊
经过

財政運営の転換示す骨太原案

政府が6月30日に示した「骨太の方針」原案は、財政運営の方向性を大きく見直す内容となった。原案は、戦略分野への成長投資と危機管理投資を軸に据え、経済財政運営を抜本的に転換するとしている。高市首相は会議で、従来の延長線上にない新たな経済財政運営へ移る考えを表明した。

目標としては、実質で1%、名目で3%を上回る経済成長の早期定着が掲げられた。日本経済の供給力を強化し、潜在成長率を引き上げることで、持続的な成長を目指す。原案は「強い経済」の実現を中心に、投資、財政、社会保障、人口政策など幅広い分野を含んでいる。

PBは複数年管理へ位置づけ変更

財政目標では、国と地方の総債務残高の対GDP比を安定的に低下させることが中核に置かれた。従来、政府が重視してきたプライマリーバランスについては、単年度の黒字化を機械的に追うものではなく、債務比率低下のための指標として位置づける。複数年で管理し、景気変動や成長投資に伴う一時的な悪化も容認する方針である。

この考え方は、財政健全化を放棄するものではなく、成長投資との両立を図るための見直しとして示された。政府は、経済成長によって税収が自然に増える流れをつくることを重視する。事業収益の拡大を財政基盤の強化につなげる狙いがある。

戦略17分野に官民投資を集中

原案では、AIや半導体など17の戦略分野に官民で370兆円超を投じる方針が盛り込まれた。2040年度には名目GDPが1100兆円に迫る経済規模となることを目指す。国内民間投資を全国に広げ、それを成長の起点にする考え方である。

予算編成では、「強く豊かな日本」投資枠を創設し、複数年度の計画に沿って投資を進める。経済安全保障上、特に重要な分野は特別会計で別枠管理する。必要資金については、償還財源を前提とする「つなぎ国債」で調達する仕組みも示された。

社会保障と金融政策も対象に

原案には、現役世代の負担が課題となっている社会保障の見直しも盛り込まれた。現役世代の保険料率を引き下げる方針を実現するため、マクロ的な社会保障負担率の目標について検討を進めると明記した。窓口負担のあり方の見直しなどについては、今年度中に改革の具体化と工程の明確化を図り、順次実施するとしている。

日銀の金融政策についても記述がある。強い経済の実現には、適切な金融政策運営が重要だと強調した上で、日銀に対し、日銀法や政府・日銀の共同声明の趣旨に沿って政府と緊密に連携することを期待するとした。2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することも求めている。

7月決定へ与党調整が焦点

原案では、人口減少の中でも成長力を確保するため、年末をめどに総合的な人口戦略を策定する検討も盛り込まれた。労働時間法制については、柔軟で多様な働き方を実現するため、夏以降に審議会で議論する。外国人受け入れのあり方についても、有識者会議で議論を始め、今年度中に基本方針をまとめる。

一方、食料品の消費税減税と給付付き税額控除は原案に記載されなかった。国民会議の実務者会議で議論が続いていることを踏まえた対応である。政府は今後、与党とさらに調整を進め、7月中旬から7月中の閣議決定を目指す。

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