中国PPI3.9%上昇、3年10カ月ぶり高水準 エネルギー高で企業物価に圧力、内需不足も課題

宇津木 柊
经过

工業品卸売物価の上昇幅が一段と拡大

中国国家統計局が6月10日に発表した5月の工業品卸売物価指数は、前年同月比3.9%上昇した。企業が製品を出荷する際の価格変動を示すPPIは3カ月連続でプラスとなった。上昇率は4月の2.8%から拡大し、2022年7月以来、3年10カ月ぶりの高い水準に達した。原油などエネルギー価格の高騰が、企業物価を押し上げる主因となった。

エネルギー高騰がPPIを強く押し上げる

5月のPPI上昇には、イラン情勢の混乱を受けた世界的なエネルギー価格の上昇が反映された。原油高は燃料や素材関連のコストを押し上げ、企業の出荷価格に影響を与えた。エネルギー価格が高止まりすれば、企業収益への圧迫が強まる。原材料や輸送費などの負担が増えるため、企業がどの程度まで販売価格へ反映できるかが、今後の経済状況を左右する要素となる。

AI関連需要も物価上昇に影響を及ぼす

統計局は、人工知能の応用拡大を受けたコンピューター関連需要の増加も、PPIの上昇につながったと分析した。AI関連の利用が広がる中、コンピューター分野の需要が高まり、工業品価格を支える要因となった。エネルギー価格だけでなく、産業構造の変化に伴う需要も企業物価に影響している。5月のPPIは、外部要因である原油高と、国内の一部産業需要の強さが重なった結果といえる。

内需不足の中で価格転嫁力が問われる

中国では内需不足が指摘されており、企業がコスト上昇分を販売価格へ十分に転嫁できるかが課題となる。需要が弱い分野では、価格を引き上げにくく、企業収益が圧迫される可能性がある。特に消費者の節約志向が続く中では、販売価格の上昇が消費の鈍化につながる懸念もある。PPIの上昇は企業側のコスト増を示す一方、最終需要の強さを示すものではないため、価格転嫁の進み方が重要な判断材料となる。

企業収益と個人消費への影響が焦点に

同時に発表された5月の消費者物価指数は、前年同月比1.2%上昇した。CPIのプラスは8カ月連続で、交通燃料は21.1%上昇した。一方、豚肉は16.1%下落し、食品価格は1.7%低下したほか、自動車価格も1.1%下がった。企業物価が大きく上がる一方で、消費者向け価格には品目ごとの差が残っている。エネルギー高による企業負担と、消費者の価格感応度の間で、今後の物価動向は販売価格への転嫁状況に左右される。

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