中東の緊張緩和で市場心理に変化
6月8日のニューヨーク金融市場では、イランとイスラエルを巡る情勢が主要な材料となった。両国は、トランプ米大統領が直ちに砲撃を停止するよう求めたことを受け、相互への攻撃を止めたと明らかにした。これにより、前週から高まっていた地政学リスクへの警戒は一部で和らいだ。
為替市場では、緊張緩和を受けて安全資産として買われていたドルから、他の通貨へ資金が戻る動きが出た。主要通貨に対するドル指数は0.07%安の100となった。ただ、先週発表された米雇用統計が堅調だったため、ドルは約2カ月ぶりの高値圏にとどまった。
円は対ドルで0.1%高の160.17円となった。ユーロは1.1531ドルに小幅上昇したものの、約9週間ぶりの安値圏で推移した。英ポンドも3週間ぶりの安値水準からやや戻し、1.3390ドルとなった。
米CPI発表を前に利回りは方向感欠く
債券市場では、米国債利回りが年限によって異なる動きとなった。金融政策の見通しに敏感な2年債利回りは0.9ベーシスポイント低下し、4.153%となった。一方、10年債利回りは1.4ベーシスポイント上昇し、4.55%で取引された。
市場では、6月10日に発表される5月の米消費者物価指数に関心が集まっている。ロイター調査では、コア指数の前月比上昇率が4月の0.4%から0.3%へ鈍化する一方、前年比では2.8%から2.9%へ伸びると見込まれている。
先週5日に発表された米雇用統計は、市場予想を大きく上回った。これにより、連邦準備理事会が年内に利上げを実施するとの観測が強まった。フェデラルファンド金利先物市場では、12月までに利上げが行われる確率を70%程度織り込んでいる。
ダウは下落継続もハイテク株が下支え
株式市場では、主要指数の動きが分かれた。ダウ工業株30種平均は前週末比80ドル77セント安の5万0786ドル01セントで終え、続落した。中東情勢を巡る不透明感が残り、売り注文が優勢となった。
一方、ハイテク株主体のナスダック総合指数は220.23ポイント高の2万5929.66となり、4営業日ぶりに反発した。前週末の大幅安を受け、一部の大型ハイテク株や半導体関連銘柄に買い戻しが入ったことが相場を支えた。
S&P500の業種別では、情報技術が1.5%高となり上昇を主導した。フィラデルフィア半導体指数は5.6%上昇し、前週末の下げから持ち直した。市場では、急落後の値ごろ感を意識した買いが広がった。
半導体株が前週末の下落から持ち直し
個別銘柄では、半導体関連株の上昇が目立った。インテルは11.2%上昇した。アルファベット傘下のグーグルが、AI処理に特化した半導体「TPU」をインテルに300万個超発注したと報じられたことが材料となった。
マーベル・テクノロジーは9.6%高となった。同社は6月22日の取引開始前にS&P500へ組み入れられる見通しで、指数に連動する投資資金の流入を意識した買いが広がった。ブロードコムも前週末の下げから持ち直し、2.8%上昇した。
一方、アップルは1.9%安で終了した。同社は年次イベントの世界開発者会議で、人工知能機能を組み込んだ新たな音声アシスタント「Siri AI」を発表した。ただ、取引終盤に売りが強まり、株価は下落した。
原油は上昇後に伸び悩む展開
商品市場では、原油相場が大きく振れた。米原油先物は取引序盤に5%超上昇したが、その後は上げ幅を縮めた。北海ブレント先物は前営業日比1.16ドル高の1バレル94.25ドル、米WTI先物は0.76ドル高の91.30ドルで取引を終えた。
原油高の背景には、イスラエルによるイラン攻撃の再開やレバノンへの攻撃を受け、戦闘拡大への懸念が強まったことがある。その後、イランとイスラエルが相互攻撃の停止を表明したため、買いの勢いは弱まった。
金先物は、イスラエルとイランの即時停戦の可能性を受けて一時の安値から戻し、横ばいとなった。米金先物8月限の清算値は1オンス4363.4ドルだった。市場では、中東情勢、米利上げ観測、インフレ指標が引き続き主要な判断材料となっている。
