中東情勢対応で予算編成
中東情勢の不安定化に備える2026年度補正予算案は、6月4日に衆議院を通過した。一般会計の総額は3兆1000億円余りで、政府はエネルギー価格の上昇や物価への影響に対応するため、大規模な予備費を盛り込んだ。採決では、自民党と日本維新の会に加え、国民民主党、チームみらいなどが賛成した。
予算案は参議院に送付され、6月5日に質疑と採決が行われる見通しである。衆議院で国民民主党などが賛成したため、参議院で採決されれば成立する可能性が高まった。政府は、中東情勢の先行きが見通しにくい中で、物価や経済への影響を注視しながら必要な対応を行う方針を示している。
2兆5000億円の予備費が焦点
補正予算案の最大の柱は、2兆5000億円の「中東情勢等対応予備費」である。高市首相は、国際情勢の変化に伴う経済への影響や、エネルギー価格の高騰に対応するために使える予算だと説明した。今後の物価動向を見極めながら、必要に応じて機動的に対応する考えを示した。
これに対し、野党側からは予備費の規模に批判が出た。中道改革連合の小川淳也代表は、今の時点で具体的な使途が見えにくいことを問題視し、国会に白紙委任を求めるものだと指摘した。政府側は、情勢が不透明な中で必要な財源を確保しておくことは、予算措置として適切で必要だと反論した。
価格抑制策の維持を検討
ガソリン価格への支援策も、予算審議で重要な論点となった。政府はこれまで、ガソリン価格を1リットル当たり170円程度に抑えるための補助を実施してきた。高市首相は、与野党から支援の持続可能性を重視する意見が出ているとして、支援単価を含めた制度の在り方を柔軟に考えると述べた。
首相は、国民の命と暮らしを守ることを基本に、どの水準までが許容範囲かを考えながら対応すると説明した。石油関連製品の価格上昇についても、幅広い産業分野から困難の声があると認識を示した。トルエンやキシレンについては、石油元売りから従来を大きく超える量を直接供給することで、価格上昇に一定の歯止めが期待されると述べた。
減税や給付の対応に差
食料品の消費税減税について、高市首相は公約実現への意欲を示した。ただし、超党派の「国民会議」で検討が続いているため、自らが結論を先に示すことはしないと説明した。夏に方向性がまとまれば、臨時国会または次の国会で税法改正案をできるだけ早く提出したいとの考えも示した。
一方、共産党からは食料品に限らず一律の消費税減税を求める声が出た。これに対し首相は、消費税が社会保障財源として使われており、一律減税は年金、医療、介護、少子化対策などに影響を及ぼしかねないとして、適当ではないと述べた。低所得者や子育て世帯への追加給付についても、昨年度補正予算の執行や電気・ガス料金支援を進めているとして、新たな予算措置は考えていないと説明した。
生活支援策の実行が課題
今回の補正予算案は、中東情勢に伴う経済リスクへの備えを前面に出した内容である。与党側は、先行きが不透明な局面で迅速に対応するための枠組みだと位置付けた。日本維新の会の藤田共同代表は、国民生活に寄り添う形で実施し、丁寧にフォローしていきたいと述べた。
国民民主党の玉木代表は、物価高に苦しむ国民を支える意味で賛成したと説明した。その一方で、使途が決まっていない予備費があるとして、中低所得の勤労者への支援策実現を働きかける考えを示した。補正予算案は6月5日に成立する見通しだが、予備費の使い道、ガソリン補助の見直し、消費税減税の制度設計が今後の焦点となる。
