AI活用拡大を背景にした成長路線を説明する
半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、6月4日に台湾・新竹で株主総会を開いた。魏哲家会長兼最高経営責任者は、人工知能の利用が幅広い分野で進む中、同社の先端技術と製造能力の価値は引き続き高まるとの見解を示した。AI関連の需要拡大を背景に、今後数年間も成長を維持できるとの姿勢を明確にした。
魏氏は、TSMCが技術開発と生産能力の強化を続け、顧客の成長を支える立場にあると説明した。AIが産業の各領域で活用される流れは、最先端半導体の重要性を高めている。TSMCはその供給を担う企業として、製造技術と量産体制の双方を重視する方針を示した。
熊本第2工場の準備加速方針にも言及する
日本で進む生産体制についても、株主総会で説明があった。熊本県菊陽町に設ける熊本第2工場について、魏氏は計画通りに進める考えを示した。さらに、条件が整えば準備を加速する意向にも言及した。
同工場では、2028年に回路幅3ナノメートル相当の先端半導体の量産開始が予定されている。TSMCにとって日本での生産拡大は、顧客対応や供給体制を強化する上で重要な取り組みとなる。株主総会での発言は、熊本第2工場が同社の中長期的な生産戦略に組み込まれていることを示した。
東京エレクトロンとの取引継続方針を表明する
株主からは、TSMCの機密情報の不正取得を巡り、台湾子会社が有罪判決を受けた東京エレクトロンを供給元のリストから外す考えがあるか質問が出た。魏氏は、同社をサプライヤーから排除する予定はないと述べた。問題は会社全体の方針違反ではなく、一社員による不祥事と受け止めていると説明した。
魏氏は、東京エレクトロンが法的な制裁を受けた点にも触れた上で、両社が前に進むことを決めたとした。半導体製造装置は先端半導体の量産に不可欠な要素であり、TSMCは取引関係の継続を選択した。東京エレクトロンについては、今後も良好な供給元であり続けるとの認識を示した。
株主還元と従業員処遇を巡る姿勢を説明する
TSMCの業績や株価の動向についても、株主総会で報告された。魏氏は、同社の売上高と1株当たり利益がいずれも過去最高を更新したと説明した。株価は2025年6月3日時点の950台湾元から、2026年6月3日には2425台湾元まで上昇し、1年間の上昇率は**150%**を超えた。
一方、従業員の賞与削減を巡る情報が一部で出たことを受け、株主から社員を支えるべきだとの意見も出た。魏氏はこれに同意し、賞与は2023年から2025年まで毎年**30%ずつ増えており、2026年も増加率が30%**を超える見通しだと説明した。従業員への対応も、持続的な経営の一部として位置付けた。
技術優位と信頼性を軸に競争継続へ向かう
魏氏は、持続可能な発展には従業員や株主だけでなく、社会への責任も重要だと述べた。TSMCは台湾で多くの土地や水資源を使い、電力消費は全体の10%近くに達するという。さらに、台湾の優秀な人材を雇用し、税収の**25%**を支えていることにも触れた。
競争環境については、米インテルや韓国サムスンなどを念頭に、勝ち続けるよう努力すると述べた。半導体需要は今後も存在し、TSMCは技術の発展と顧客サービスで世界的な地位を維持していると説明した。信頼性の面で強みを持つとの認識を示し、成長と競争力の維持を掲げた。
