EUがTemuに370億円制裁、違法商品対策の不備を認定

早瀬 涼真
经过

巨額制裁で問われるEC管理体制

EUの欧州委員会は5月28日、中国発のネット通販サイト「Temu」に対し、2億ユーロ、日本円で約370億円の制裁金を科した。違法商品の流通を防ぐための対応が不十分だったとして、EUのデジタルサービス法に違反したと判断した。今回の制裁金は、同法に基づく措置として過去最高額とされる。

欧州委員会は、Temuが自社サイトで販売される商品に関し、違法性や消費者被害の危険を十分に特定していなかったと説明した。2024年に行われたリスク評価についても、EC業界全体に関する一般的な内容にとどまり、Temu自身のサービス実態を踏まえた分析が不足していたと認定した。EUは、巨大なオンライン平台に対し、販売環境の安全性を確保する責任を明確に求めている。

リスク評価の甘さを欧州委が指摘

欧州委員会によると、Temuは利用者が違法商品に接触する頻度を低く見積もっていた。さらに、商品を表示する推薦機能や、インフルエンサーによる宣伝が違法商品の拡散につながる可能性についても十分に検討していなかった。こうした仕組みは利用者の購買行動に直接影響するため、EUは実態に即した評価が必要だと判断した。

デジタルサービス法は、大規模なIT企業やオンラインサービスに対し、違法コンテンツや違法商品の排除、利用者保護、リスク管理などを義務付けている。今回の処分は、単に違法商品が存在したことだけでなく、それを防ぐための社内評価や管理体制の不足を問題視した点に特徴がある。EUは、事業規模の大きいサービスほど厳格な対応を求める姿勢を示した。

基準未達の商品流通をEUが問題視

欧州委員会の調査では、Temu上で販売されていた一部の商品に安全上の問題が確認された。多数の充電器が基本的な安全基準を満たしていなかったほか、乳幼児向け玩具についても問題が指摘された。別の調査内容では、赤ちゃん向け商品に窒息のおそれがある例も示されている。

また、一部の玩具では法定基準を超える化学物質が検出されたとされる。こうした商品がEU域内の消費者に届く状況について、欧州委員会は利用者が違法商品を購入する危険性が高まったと見ている。ネット通販では商品の出品数が膨大になるため、運営事業者による監視や評価の精度が重要となる。

8月28日までの改善計画を要求

EUはTemuに対し、8月28日までに改善計画を提出するよう求めた。計画には、違法商品の流通を防ぐための具体的な対応策や、リスク評価の改善が含まれるとみられる。欧州委員会は、要求に従わない場合、追加制裁を科す可能性があるとしている。

ビルクネン上級副委員長は、Temuの評価について、具体的な危険を過小に捉え、根拠や網羅性を欠いていたと批判した。EUは今回の措置を通じ、オンライン市場での消費者保護を重視する姿勢を鮮明にした。特に低価格商品を大量に扱う越境ECに対し、販売規模に見合う管理責任を求めている。

Temu側は制裁金過剰と反論

Temuの報道官は、欧州委員会の決定に同意できないと述べた。さらに、制裁金は過剰だとの考えを示し、今回の判断は2024年時点の評価に基づくもので、現在の状況を反映していないと主張した。EU側とTemu側の認識には隔たりがある。

今回の処分は、オンライン通販事業者が違法商品対策をどこまで徹底すべきかを示す事例となった。EUはデジタルサービス法を通じ、巨大IT企業やEC事業者に対する監督を強めている。Temuに求められた改善計画の内容と、欧州委員会による今後の判断が焦点となる。

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