日本精工とNTNが統合へ世界首位級の軸受け連合誕生に向け基本合意

早瀬 涼真
经过

国内大手2社が統合方針を発表

機械部品メーカー大手の日本精工とNTNは5月12日、経営統合に向けた基本合意に達したと発表した。両社はいずれもベアリングを中核事業とし、世界市場で上位に位置する日本企業である。統合が成立すれば、世界3位と4位のメーカーが連携し、ベアリング業界で首位級の規模を持つ企業グループとなる。

計画では、2027年10月に共同持ち株会社を設立する。持ち株会社の下に日本精工とNTNが入る形を想定しており、社長は日本精工側、会長はNTN側が指名する。今後、最終契約の締結や競争法上の審査、株主総会での承認を経て統合手続きを進める。

ベアリング市場で首位級に浮上

ベアリングは、機械の回転軸を滑らかに動かすために使われる重要部品である。自動車、家電、産業機械など幅広い分野に組み込まれ、製造業の基盤を支えている。日本精工とNTNはいずれもこの分野を主力としてきた。

2024年の世界シェアは、日本精工が13.3%、NTNが10.7%だった。単純合計では24.0%となり、世界首位のスウェーデン企業SKFの17.7%を上回る規模となる。統合後の新体制は、世界市場での競争力を高める狙いを持つ。

コスト上昇が再編を後押し

統合の背景には、原材料や物流、人件費の上昇がある。ベアリングの材料となる鋼材価格は上昇しており、製造コストの抑制が課題となっている。両社は規模を拡大し、調達や生産面で効率化を進める方針だ。

日本精工の市井明俊社長は、国際競争力を維持するために国内業界の再編が必要だとの認識を示した。NTNの鵜飼英一社長は、部品調達の見直しや生産拠点の相互活用によって費用を削減すると説明した。統合は、収益基盤を強化するための対応策として位置づけられる。

国内生産減少と中国勢台頭

ベアリング市場を取り巻く環境は厳しさを増している。経済産業省によると、国内のベアリング生産数量は2025年に23億個となり、3年間で13%減少した。主力の自動車や産業機械向け需要は、急速な拡大を見込みにくい状況にある。

一方で、中国の競合企業も存在感を高めている。NTNの鵜飼社長は、価格競争が激しくなり、適正な利益を確保しにくくなっていると述べた。こうした市場環境が、国内大手2社の統合判断につながった。

成長分野への開発投資が焦点

両社は統合後、既存事業の効率化だけでなく、新たな用途に向けた製品開発にも取り組む。対象となる分野には、ロボット、ドローン、宇宙関連などが含まれる。これらの分野では、高精度で信頼性の高い機械部品への需要が見込まれる。

経営統合は、コスト削減と開発投資の効率化を同時に進める枠組みとなる。日本発のベアリングメーカーが規模を拡大し、世界市場で競争力を高める体制づくりを進める。今後は統合比率や競争法審査、株主承認の行方が焦点となる。

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