物価上昇が再び強まり家計への圧力が鮮明化
米労働省が5月12日に発表した4月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で3.8%上昇した。伸び率は3月の3.3%から拡大し、2023年5月以来の高水準となった。市場予想の3.7%も上回り、米国の物価上昇圧力が再び強まったことを示した。
前月比では0.6%上昇となり、3月の0.9%上昇からは伸びが鈍った。ただし、エネルギーや食品、住居費など生活に近い品目で値上がりが続いており、消費者の負担感は強まっている。インフレの再加速は、11月の中間選挙を控えるトランプ政権と共和党にとって政治面の課題にもなっている。
エネルギー価格の上昇が指数全体を押し上げ
今回のCPIで目立ったのは、エネルギー関連価格の上昇である。ホルムズ海峡の事実上の封鎖やイラン戦争を背景に原油価格が高止まりし、燃料価格が広範に上がった。ロイターの報道では、エネルギー価格は前月比で3.8%上昇し、CPI全体の上昇分の40%超を占めた。
別の集計では、エネルギーは前年同月比で17.9%上昇した。ガソリンは28.4%、燃料油は54.3%上昇し、米国民が日常的に感じる物価負担を大きく押し上げた。電気料金も上昇しており、エネルギー高は交通費だけでなく、家庭の光熱費にも影響を及ぼしている。
食品や住居費でも値上がりが広がる展開
食品価格も上昇し、家計への圧迫要因となった。前月比では0.7%上昇し、牛肉は2.7%値上がりした。果物・野菜、ノンアルコール飲料、乳製品、卵なども上昇し、食卓に直結する品目で価格上昇が広がった。
住居費も物価全体を押し上げた。家賃やホテル宿泊代を含む住居費は0.6%上昇し、3月の0.3%上昇から伸びが拡大した。持ち家の帰属家賃も0.5%上昇した。さらに、ジェット燃料の高騰を背景に航空運賃は2.8%上昇し、衣料品、靴、家具、家事関連サービスも値上がりした。
コア指数も予想を超えFRB判断に影響
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは、前年同月比で2.8%上昇した。市場予想の2.7%を上回り、3月の2.6%上昇から伸びが強まった。コア指数の加速は、エネルギー高だけでなく、基調的な物価圧力が残っていることを示している。
前月比のコアCPIは0.4%上昇となり、予想の0.3%を超えた。これは2025年1月以来の高い伸びで、昨年の連邦政府閉鎖に伴うデータ収集の問題を受け、家賃指標に一時的な調整が加えられたことも影響した。市場では、4月の雇用統計が予想を上回ったことと合わせ、FRBが利下げに動きにくい状況が強まった。
利下げ観測が後退し政策据え置きの見方強まる
トランプ大統領はFRBに利下げを求めているが、足元の物価統計は金融緩和を難しくする内容となった。市場では、FRBが年内に政策金利を据え置くとの見方が多く、ロイターの報道では2027年まで金利を維持するとの観測も強まった。
ネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオンのチーフエコノミスト、ヘザー・ロング氏は「深刻な家計の圧迫が進行している。3年ぶりにインフレが賃金上昇分を全て相殺している。これは中間層と低所得層にとって打撃であり、彼らもそれを実感している」と述べた。物価高、原油高、金利政策の3つが重なり、米経済は難しい局面に入っている。
