予算編成見直しへ新投資枠検討、危機管理と成長投資の財政設計が始動

宇津木 柊
经过

骨太方針へ向けた議論進む

政府は5月11日夜、経済財政諮問会議を開き、ことし夏に策定する「骨太の方針」に盛り込む予算編成の見直しについて議論した。高市早苗首相は、危機管理投資や成長投資に活用する「新たな投資枠」の創設を含め、具体的な検討を進めるよう片山財務大臣に指示した。財政規律を維持しながら、複数年度にわたる重要投資をどう確保するかが主要な論点となった。

首相は、政府の新たな成長戦略のもとで国内投資がどの程度伸びるか、税収増にどのように寄与するか、債務残高の対GDP比がどう推移するかについて試算を求めた。指示を受けた城内成長戦略担当大臣は、成長戦略と財政運営を結びつけるための検討を担うことになる。政府は、成長投資を財政の質の向上とあわせて進める方針を示している。

新たな投資枠の創設を指示

高市首相が検討を求めた新たな投資枠は、危機管理や成長分野に必要な財源を多年度で別枠管理する仕組みを想定している。単年度ごとの予算配分だけでなく、継続的な政策課題に対応する財政運営を可能にする狙いがある。対象として示された危機管理投資や成長投資は、政府が中長期で重視する分野に位置づけられる。

首相は片山財務大臣に対し、債務残高の対GDP比を安定的に引き下げる中で、どの程度の財政規模が可能かを精査するよう求めた。これは歳出拡大の余地を確認するだけでなく、市場の信認を維持しながら必要な投資を進めるための前提となる。投資枠の具体化には、財政規律と政策効果の両面から検証が必要となる。

財政の質向上も同時に要請

首相は新たな投資枠の検討に加え、政策効果が低い補助金や租税特別措置の見直しも求めた。財政支出を増やすだけでなく、既存制度の効果を点検し、優先度の高い分野へ資源を振り向ける姿勢を示した形である。財政の質を高める取り組みは、成長投資を進める上で重要な前提となる。

民間議員は会議で、「責任ある積極財政」を進めるには、市場の信認を確保することが必要だと指摘した。そのためには、財政状況を複数の指標で継続的に示すことが重要だとの考えが示された。政府は成長投資を進める一方で、財政の健全性を客観的に説明する体制づくりも求められている。

家計支援では給付案にも言及

同じ日に開かれた参院決算委員会では、物価高対策として中低所得者向けの現金給付案も議論された。国民民主党は、社会保険料の納付額を上限に現金給付や減税を行う「社会保険料還付付き住民税控除」を訴えている。中低所得の勤労者を念頭に、1人5万円程度の給付を近く提言する方針である。

高市首相は、社会保険料の還付を先行して実施し、一定額の給付を通じて中低所得層の負担軽減を図る考え方について、方向性は一致しているとの認識を示した。ただ、制度を実行するには、給付水準と負担の均衡、対象者の線引き、財源の手当てが課題になるとも指摘した。同日には国会で家計支援策が取り上げられ、政府会議では中長期の投資や財政運営の見直しも議論された。

成長投資と財政健全化の両立が焦点

政府は物価高への対応について、現時点で補正予算の編成が直ちに必要な状況ではないとの立場を示している。首相は2026年度の予備費などの活用を念頭に、物価動向が家計や事業活動に与える影響を注視しながら、臨機応変に対応すると述べた。追加経済対策を求める声に対して、政府は当面、既存の予算措置も含めて対応を検討する構えである。

新たな投資枠の検討は、成長戦略と財政運営を一体で見直す動きとして位置づけられる。危機管理や成長分野への支出を確保しながら、債務残高の対GDP比を安定的に下げる方針をどう具体化するかが問われる。家計支援、投資促進、財政規律を同時に扱う政策設計が、今後の「骨太の方針」に向けた焦点となる。

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