海峡封鎖受け輸送経路の再検討進展へ
海運大手の日本郵船は、ホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、中東向け自動車輸送で別ルートの検討を進めている。5月11日の決算会見で、曽我貴也社長が明らかにした。対象となるのは、日本やタイなどアジアから中東へ向かう自動車輸送で、海峡を通過できない状況に対応する物流上の措置となる。
同社は中東情勢の緊迫化により、通常の海上輸送だけに依存しない対応を迫られている。ホルムズ海峡は中東向け輸送に関わる重要な通過点であり、事実上の封鎖は船舶運航や納入計画に影響を与える。日本郵船は、輸送の継続を重視し、既存ルートに代わる選択肢の確保を進める方針だ。
中東向け大型車需要の底堅さが背景に浮上へ
曽我社長は会見で、中東各国の自動車購入意欲について強い需要が続いているとの認識を示した。特に大型車を中心に、日本やタイなどから輸出する需要が大きいと説明している。ホルムズ海峡に入れない場合でも、物流面で別の経路を開く必要があるとの考えを示した。
中東向けの自動車輸送は、同社の自動車運搬事業にとって重要な領域の一つである。日本郵船は約120隻の自動車運搬船を運航し、世界でも上位のシェアを持つ。需要が残る中で輸送が滞れば、販売や納車に影響するため、代替経路の検討は事業継続の観点でも重要性を増している。
安全港で荷降ろし陸上輸送へ切り替えへ
代替策として想定されているのは、ホルムズ海峡の手前に位置する安全な港で車両を荷降ろしし、その後は陸上輸送に切り替える方法である。曽我社長は、オマーンや中東周辺の安全な地域を例に挙げ、陸上の物流網を通じて供給を続ける方向性に言及した。
この方法では、船舶が封鎖された海峡に入ることなく、目的地までの輸送を継続できる可能性がある。海上輸送と陸上輸送を組み合わせることで、通常ルートが制限される中でも納入を維持する狙いがある。日本郵船は、具体的な代替ルートの開拓にすでに動き出している。
7月通航再開前提に業績予想を公表へ
日本郵船は今年度の業績予想について、7月にホルムズ海峡が安全に通過できるようになるとの前提を置いている。その上で、売上高は前年度比で7.5%増、最終利益は7.9%減とした。2027年3月期の見通しには、一定時期に通航が再開するとの想定が反映されている。
一方で、同社は中東情勢の先行きについて見通しが難しいとしている。ホルムズ海峡の封鎖が想定より長引く場合、運航計画や輸送費、事業採算に影響が及ぶ可能性がある。業績予想は状況に応じて見直す余地があるとの立場を示しており、今後の情勢が経営判断に影響する。
長期化に備え物流確保が今後の課題に
日本郵船の対応は、ホルムズ海峡の通航再開を待つだけでなく、封鎖が長引いた場合に備える動きでもある。中東向け自動車需要が続く中、輸送を止めずに供給体制を維持することが課題となっている。海上輸送会社にとって、代替ルートの確保は顧客対応と事業安定の両面で重みを持つ。
同社は、海峡の安全な通航が7月に再開する前提を置きながらも、長期化に備えた実務的な対応を進めている。安全な荷降ろし地点と陸上物流を組み合わせる案は、その具体策の一つとなる。中東情勢の変化を受け、同社の自動車輸送事業は柔軟な経路設計を求められている。
