SAF費用負担制度の検討開始と空港徴収案の全体像

井村 智規
经过

再生燃料普及に向けた制度検討開始

国土交通省は4月8日、有識者による検討会を開き、航空機向けの再生可能燃料の導入拡大に向けた新たな制度づくりの方向性を示した。検討対象となっているのは、利用者から一定の費用を徴収し、燃料導入の負担を分担する仕組みである。
この制度は、航空会社を通じて利用者が費用の一部を負担する形式を想定しており、将来的な運用体制の整備を視野に入れている。航空分野における温室効果ガス削減の取り組みを進める上で、費用負担のあり方が重要な課題とされている。

空港主体による徴収方式が軸に

検討の中心となっているのは、空港が主体となって費用を集める方式である。航空運賃に一定額を上乗せする形などを通じ、航空会社経由で利用者から資金を集める案が有力とされている。
この方式は制度設計の進めやすさや、負担の分散が図りやすい点などが理由とされている。検討会では対象となる空港の範囲や徴収額の水準など、具体的な条件を整理する作業が進められる見通しである。

SAFの特性と導入拡大の必要性

再生航空燃料は、廃食用油などを原料として製造される新しいタイプの燃料である。従来のジェット燃料と比べ、使用時に排出される二酸化炭素を最大で約80%削減できる点が大きな特徴とされている。
一方で、製造コストが高いことが普及の妨げとなっている。従来燃料との価格差が大きいため、航空会社単独での導入拡大には限界があるとの指摘があり、費用を社会全体で分担する仕組みの必要性が議論されてきた。

他方式との比較と制度設計の課題

制度設計の過程では、複数の徴収方法が比較対象として示されている。航空会社が任意で徴収する追加料金方式や、国が税として徴収する仕組みなども検討の対象となった。
しかし、制度運用の柔軟性や利用者への影響などを考慮した結果、空港主体の方式が現時点では適していると判断された。今後は利用者の負担感を抑えつつ、安定的な資金確保を図るための詳細な制度設計が求められる。

2030年開始を目標とした工程整理

国土交通省は、2026年夏までに制度の基本的な枠組みを取りまとめる方針を示している。その後、具体的な運用方法や徴収の仕組みを固め、2030年ごろの制度開始を目指すとしている。
再生燃料の普及は、温室効果ガス削減に加え、エネルギー供給の安定性を高める観点からも重要視されている。制度の整備が進めば、航空分野における環境対応の取り組みが新たな段階に入ることになる。

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