中枢人物の殺害発表が波紋
イスラエルのカッツ国防相は3月17日、イランの最高安全保障委員会のラリジャニ事務局長を殺害したと発表した。対象となったのは16日夜に実施された攻撃で、同じ機会にバシジのソレイマニ司令官も死亡したと説明している。イスラエル首相府は、ネタニヤフ首相がイラン高官の排除を指示する場面だとする写真もSNSで公開し、作戦の政治的意味合いを強く打ち出した。
ラリジャニ氏の立場と影響力
ラリジャニ氏は、イランの安全保障と外交方針を扱う最高安全保障委員会の事務局長を務めていた。革命防衛隊幹部、国会議長、文化・イスラム指導相などを歴任した保守派の有力者でもあり、国家運営の中枢に長く関わってきた。米イスラエルの攻撃で殺害されたハメネイ師の近臣としても知られ、イラン指導部内で強い発言力を持つ存在と受け止められていた。
イスラエル側が示した位置づけ
イスラエル軍報道官は17日、ラリジャニ氏について、ハメネイ師死亡後にイランで実権を握っていた人物だと述べた。戦時体制における事実上の指導者であり、中東や欧州で民間人を標的とする攻撃の指示にも関与していたと主張している。イスラエルメディアは、同氏がテヘランのアパートにいた際に攻撃を受けたと報じ、体制中枢への打撃として大きく扱った。
後継体制との関係が鮮明に
報道では、ハメネイ師が自らへの攻撃を予期し、信頼するラリジャニ氏に事態対応を託していたとされる。最高指導者の後継には次男のモジタバ・ハメネイ師が選ばれたが、政策決定ではラリジャニ氏が上位に位置する影響力を持っていたとの見方が示された。モジタバ師に忠誠を示しつつ、革命防衛隊と連携して体制維持を進める役割を担っていたと伝えられている。
国連への訴えと今後の焦点
現時点で、イラン側からラリジャニ氏殺害に関する公式発表は出ていない。ただ、同氏は13日のデモでも対米圧力への抗戦姿勢を訴えており、今回の発表がイランの対応に与える影響が注目される。アラグチ外相はグテーレス国連事務総長と電話で協議し、米国とイスラエルの軍事行動は国連憲章に反すると主張したうえで、ホルムズ海峡の混乱も両国の行動が原因だと訴えた。国際社会への働きかけを強める一方、軍事・外交両面での反応が次の焦点となっている。
