中東情勢緊迫で化学原料調達に影響拡大
中東情勢の緊迫化を受け、国内化学産業に原料調達の影響が広がっている。三菱ケミカルグループは3月9日、茨城県神栖市の鹿島コンビナートにあるエチレン製造設備の生産量を抑制していることを明らかにした。
同社は6日から設備の稼働率を下げて運転している。背景にはホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、中東から輸入される原料の供給減少が見込まれている状況がある。
エチレンはプラスチックなど多くの化学製品の基礎原料であり、国内産業に広く利用される重要な素材である。
鹿島コンビナート設備の稼働率を引き下げ
減産の対象となったのは、鹿島コンビナート内にある単独運営のエチレン製造設備である。この設備の年間生産能力は48万5000トンで、日本国内の生産量の約8%を占める規模となっている。
同コンビナートでは石油精製大手ENEOSの設備からナフサの供給を受ける一方、輸入原料にも一定程度依存している。原料供給が不安定になることを見据え、設備停止を避けるための対応として稼働率を引き下げた。
減産の具体的な稼働率については公表されていない。
ナフサ輸入の中東依存が供給不安要因に
ナフサは原油精製の過程で得られる石油製品で、エチレン製造の主要原料である。日本で使用されるナフサのうち約4割が国内生産で、残る約6割を海外から輸入している。
輸入分のうち約7割は中東地域からの調達で、国内全体でも約4割が中東に依存している。今回の海峡封鎖による物流停滞は、こうした供給構造の弱点を浮き彫りにした形となった。
国内では原油備蓄が約250日分あるとされるが、ナフサとしての在庫は20日程度にとどまるとみられている。
主要顧客へ減産を通知し供給調整へ
三菱ケミカルグループは、今回の生産調整について主要な取引先企業にすでに通知した。エチレン製造設備は一度停止すると再稼働に時間がかかるため、設備停止を回避する運転が選択された。
鹿島の設備では5月から約2カ月間の定期修理が予定されている。通常は修理期間に備えて在庫を積み増すが、減産によって在庫確保が難しくなった場合には、顧客との供給調整を行う方針だ。
国内化学業界にも減産の波及懸念
国内のエチレン設備は近年、需要低迷などを背景に稼働率が7割台にとどまるケースが多い。一方で鹿島設備はそれより高い稼働率で運転されており、今回の減産は供給調整の余地を利用した対応とみられる。
同社は岡山県倉敷市で旭化成と共同運営するエチレン設備を持つが、現時点で減産措置は取っていない。
また出光興産も山口県と千葉県のエチレン設備について、海峡封鎖が長期化した場合は停止する可能性があると取引先に伝えており、国内石化産業への影響が広がる可能性がある。
