政変後初の総選挙が全国で実施
ネパールで3月5日、政変後初となる下院総選挙が実施された。投票は日本時間の午前10時すぎに始まり、首都カトマンズでは多くの有権者が投票所を訪れた。今回の選挙は、前年に発生した政権崩壊後の政治体制を決定する重要な機会と位置づけられている。
議席定数275の下院を巡り各政党が競い、結果の確定には数日かかる見通しだ。各党とも単独過半数の獲得は難しいとみられており、選挙後には連立政権の形成が議論される可能性が高い。
若者の抗議デモが政治変動の契機
ネパールでは汚職の蔓延や深刻な失業問題への不満が広がっていた。2025年9月には政府がSNSを遮断したことを契機に、若者を中心とした抗議行動が全国で発生した。
このデモは各地で拡大し、治安部隊との衝突も発生した。報道によると衝突では70人以上が死亡し、政治的混乱が続いた末に当時の政権が崩壊した。
こうした経緯から、今回の総選挙では政治改革や雇用対策が最大の争点として扱われている。
新興勢力国民独立党が支持拡大
今回の選挙で特に注目されているのが、新興政党の国民独立党(RSP)だ。同党は議会第4党とされ、汚職対策や雇用創出を掲げて支持を広げてきた。
首相候補として掲げられているのが、カトマンズ前市長のバレンドラ・シャー氏(35)である。シャー氏はラップ音楽の活動歴を持つ政治家として知られ、若者層からの関心を集めている。
地元メディアは、抗議デモに参加した若者の間で同党への支持が拡大していると報じている。
若者層が政治刷新への期待示す
カトマンズの20代女性は「多くの人が既存政党に失望している」と話し、政治の刷新を望む声が広がっていると述べた。汚職のない政治と雇用の拡大を求める意見が多く、若い世代の関心が高まっている。
また、抗議デモに参加した若者の中には、家族の失業や生活苦を背景に政治改革を求める人もいる。新興勢力がこうした層の支持をどこまで議席につなげられるかが焦点となっている。
連立政権の形成が今後の焦点に
選挙戦では各政党が汚職対策や雇用創出を訴えたが、議席の分散が予想されている。複数政党による連立政権の成立が有力視されている。
政変後の暫定政権を率いたカルキ暫定首相は、平和的に投票が行われたことについて「自分の責務を果たした」と述べた。
政治的混乱を経たネパールが、新たな政権体制の下で安定を取り戻せるかが注目されている。
